2013 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌間質相互作用に寄与する膵星細胞の同定と特異的分子標的治療の開発
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13J03692
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
進藤 幸治 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポドプラニン / 癌関連線維芽細胞 / 膵星細胞 / 膵浸潤癌 / 癌間質相互作用 |
Research Abstract |
膵臓癌は、Desmoplasiaと呼ばれる癌周囲間質の増生を病理学的特徴とする癌腫である。近年、癌間質相互作用が膵癌の高い浸潤能、転移能、治療抵抗性に強く影響を与えることが示され、その研究が世界的に進められている。また、膵間質に存在する膵星細胞(Pancreatic Stellate cell : PSC)が同定され、PSCが種々の液性因子の分泌を介し膵線維化に関与することが明らかになった。研究員の在籍する研究室より、膵星細胞はheterogeneousなphenotypeを持ち、ある集団が癌間質相互作用を通じて癌細胞の悪性度を特異的に促進することを発表している。 研究員は本年度、従来から取り組んでいた膵癌組織由来膵星細胞を用いた解析をすすめ、ポドプラニンという蛋白を発現している癌関連線維芽細胞が膵臓癌の進展に関与していることを免疫染色における臨床病理学的データと一次培養した癌関連線維芽細胞を用いて証明した。また、線維芽細胞中のこの蛋白の発現率は培養液中のserum濃度や増殖因子濃度などにより大きく変化し、癌組織中の癌間質相互作用とともに周囲微小環境も癌悪性度に多大に影響することを証明し、2013年5月に米国で行われたDDWにて発表した。これを論文化してMolecular Cancer誌に掲載された。また、膵臓癌の前癌病変にも着目し、膵管内乳頭粘液腫瘍を用いて、癌化に伴う間質反応を証明するため病理学的見地から研究を進め、2013年米国におけるアメリカ膵臓学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、従来から取り組んでいた膵癌組織由来膵星細胞を用いた解析をすすめ、ポドプラニンという蛋白を発現している癌関連線維芽細胞が膵臓癌の進展に関与していることを証明した。また、線維芽細胞中のこの蛋白の発現率は培養液中のserum濃度や増殖因子濃度などにより大きく変化し、癌組織中の癌間質相互作用とともに周囲微小環境も癌悪性度に多大に影響することを証明して、これを論文化した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年4月より特別研究員PDとしてJhons Hopkins大学、Sol Goldman Pancreatic Cancer Research CenterのDePartment of Pathologyの教室に留学し、多量の試料を用いて研究継続している。上記研究継続中におけるIPMN(膵癌の前癌病変の一つ)の上皮細胞と嚢胞壁を形成する線維芽細胞との間の相互作用について新たなる所見を発見したため、その研究を進め論文化する予定である。
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Research Products
(3 results)