2013 Fiscal Year Annual Research Report
官能基間距離認識を基盤とする触媒的位置選択的官能基化及び遠隔位不斉識別反応の開発
Project/Area Number |
13J03977
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
繁田 尭 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機触媒 / 不斉官能基化 / 不斉非対称化 / 遠隔位不斉識別 / 水素結合 / 認識部位 / ノシルアミド基 / 加速度的反応 |
Research Abstract |
申請者はσ-対称長鎖ジオールの非対称化に関してより広範な基質を合成し、基質認識型触媒の認識能の限界に挑戦している。特に、これまでの成功で極めて重要な基質である四置換プロキラル炭素含有1,7-ジオール1において、置換基Rの嵩高さや官能基許容性及び類似構造をどこまで正確に識別するかは、今後の発展研究を行う上で重要な知見である。そこで置換基にR=TBDPSO(CH_2)_2、MeO(CH_2)_3を有する基質をそれぞれ合成し、触媒反応を行った。その結果、高収率と高立体選択性を保持していることが分かった。特にR=MeO(CH_2)_3のジオール体においては、四置換プロキラル炭素から伸びる3本の炭素鎖の違いは殆どなく、立体障害を利用する反応ではこの違いを見分けることはほぼ不可能であるが、基質認識型触媒ではそれぞれの炭素鎖を明確に識別し、プロS側の水酸基を高度に識別していることが結果から分かる。また、NHNsの酸性プロトンがMe化された基質では大きく立体選択性が低下することからも、NHNs基は本反応に重要な置換基であり、基質-触媒間の水素結合がこの結果からも示唆される。一方、立体選択性が完全に消失しない理由としては、触媒が基質の1,4アミノアルコール構造だけではなく、1,7-ジオール構造、もしくはNs基と触媒ナフタレン部位との弱い相互作用の働きが影響しているものと考えている。これらの結果から、基質一般性の拡大もさることながらノシルアミド構造による精密な基質―触媒間相互作用、また1,4-アミノアルコール構造に由来したプロキラル炭素不斉識別に関する多くの情報が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型触媒の合成に関しては現在進行中の課題ではあるが、不斉非対称化の研究を通して遠隔位プロキラル炭素不斉識別の重要な知見が得られた。触媒の選択性は立体障害を基盤とした排他的選択性ではなく、分子認識を用いた加速度的な反応によることはこれまでの研究から示唆されているが、今回の成果は新たな基質認識型触媒を合成する上で核となる重要な知見となった。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた知見から、炭素鎖の異なるアミノアルコールを基質とした竸争実験を行い、仮説である加速度的反応を支持する実験データを集めたい。また、官能基許容性の精査のため別の基質の合成も進めており、必要なデータをまとめた後に学術雑誌へ投稿する予定である。同時に新たな骨格を持つ基質認識型触媒の合成にも取り組んでおり、徐々に骨格が形となりつつあるため、そちらに関しても合成を完了し、多くの遠隔位認識型反応へ適応していく予定である。
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Research Products
(1 results)