2013 Fiscal Year Annual Research Report
小腸排出トランスポーター・アダプター共発現細胞を用いた薬物相互作用と遺伝多型解析
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13J04561
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 卓也 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トランスポーター / アダプタータンパク質 / BCRP / PDZK1 / 薬物相互作用 / 消化管吸収 |
Research Abstract |
新規血小板増多剤eltrombopag (ELT)の体内動態と薬物相互作用の解明を目的として、研究を進めた。 mdr1a/1b/bcrp遺伝子欠損マウスにおける薬物動態試験および排出トランスポーターBCRP・アダプターPDZK1共発現細胞での経細胞輸送試験により、ELTの体内動態にBCRPが寄与していることが示唆された。このELTの経細胞輸送は、BCRP単独発現細胞では見られなかったことから、生体内での構造に近い系である共発現細胞がBCRPによる薬物輸送活性の検出感度が良い有用なツールであることが実証された。ELT併用時のrosuvastatin消化管ループ内投与試験と共発現細胞での経細胞輸送試験の結果、消化管においてrosuvastatinのBCRPによる排出をELTが阻害すること示唆された。従って、以前に証明されたELTによるrosuvastatinの肝取り込み阻害に加え、消化管のBCRP阻害がヒトにおいてELT併用時にrosuvastatin経口投与後の血漿中濃度推移が上昇するメカニズムであると考えられる。さらに、臨床投与量でのヒト消化管内推定濃度は、IC_<50>値よりも高濃度であると予測されるため、ELTによる消化管BCRP阻害は臨床で生じる可能性が高く、適正使用に重要な知見である。また、PDZK1の疾患時の役割解明のため、炎症性腸疾患時に着目して研究を実施した。pdzk1遺伝子欠損マウスで作製したデキストラン硫酸誘発性腸炎モデルでは、野生型の腸炎モデルに比べ炎症が抑制された。よって、PDZK1が炎症性腸疾患と関係することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
消化管吸収過程におけるBCRPを介したELTの薬物相互作用を実証することができており、本研究は順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、BCRP/PDZK1共発現細胞を用いた経細胞輸送試験や小腸組織・個体レベルでのELT薬物相互作用解析を行う。また、炎症性腸疾患とPDZK1および制御するトランスポーターとの関連について新たな知見が得られていることから、申請時の研究計画と並行して研究を実施する。
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Research Products
(2 results)