2014 Fiscal Year Annual Research Report
微細MOSトランジスタにおけるRTN起因の特性ばらつきに関する研究
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13J04647
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粟野 皓光 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 集積回路 / 微細化 / ばらつき / 信頼性 / 歩留まり解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
微細トランジスタの特性劣化を実シリコンで測定する回路を試作・測定し,約4千個のトランジスタにおける測定から,NBTI劣化ばらつきがチャネル面積に反比例して増大することを明らかにした.本成果は欧州の固体電子デバイスに関する国際会議(ESSDERC)にて発表し,現在は論文誌への投稿のための準備を進めている.次にRTNが実際の回路に及ぼす影響を解析するツールの開発に取り組み,SRAMの不良確率がRTNによってどの程度悪化するのか解析した.不良確率計算はモンテカルロ法を利用した積分計算に帰着されるが,非常に小さな値を持つ積分をモンテカルロ法で高精度に評価することは困難であり,重点的サンプリングが広く用いられている.しかし,RTNはゲートバイアス条件によって,その特性が大きく変化してしまうため,様々な条件下で複数の解析を行う必要があり,不良確率解析の更なる高速化が必要であった.新規に開発した手法では,機械学習を使って良品・不良品判定を一部肩代わりさせることで,更なる高速化を達成した.シミュレーション実験の結果,15.6倍の高速化を達成し,同時に,RTNが不良確率を最大で25%程度変化させうることを発見した.当該成果は欧州で開催される集積回路の設計自動化及びテストに関する国際会議(DATE)にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通り,RTNが具体的な回路に及ぼす影響の解析を行う手法を開発した.また,昨年度からの続きで,実シリコンにおけるNBTI・RTN測定に取り組み,その統計的性質を世界に先駆けて評価した.これらの研究に関する成果は,それぞれ難関とされている国際会議に採択されている.また,関連した研究により,国内学会でも2件の発表を行った.更に,関連する論文が国際的に著名な学術論文誌に採択されている. これらの学会発表や論文発表,学会活動に対し,4件の表彰を受けた. 以上を総合し,本年度は当初の想定以上の成果を上げることができたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
デバイスの特性劣化が集積回路の信頼性に与える影響を効率的に見積もる手法についての着想を得たため,今後は回路解析に焦点を絞り,手法の開発に取り組む予定である.これは当初の計画には含まれていないが,集積回路の信頼性を評価するための基盤技術となることが見込まれるため,優先的に取り組む予定である.その後,実シリコンの測定で得られた,劣化ばらつきの実測データと統合し,一連の研究成果を纏め上げ,博士論文の執筆に取り組む予定である.
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Research Products
(6 results)