2013 Fiscal Year Annual Research Report
トンボ類を指標とした生物多様性指標の構築に向けた研究
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13J04978
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
板川 暢 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トンボ類 / ジャカルタ / 都市 / 生物多様性指標 / 土地利用構成 / COMB・cSI / ため池(Situ・Kolam) / 微視的生息規定要因 |
Research Abstract |
研究①「土地利用パターンとトンボ類の分布に基づく都市域の生物多様性指標の構築」については、解析及び途中結果の研究報告を行った。既に取得済みの乾季・雨季のトンボ類の分布データ及び2013年度の8・9月に行った補足調査の結果を元に、目的変数にトンボ類の多様度を示す指標(各調査地の出現種数及び多様度指数)、説明変数には土地利用の構成(COMB)と混在度(cSI)を示す指標を用いて分析を行った。土地利用データは、メッシュ(Land use unit=LU)サイズを10,25,50,100,.125,250m四方にラスターに変換したものを用いた。解析スケールはCOMB及びcSIを算出する単位となるSpatial unit (SU)を基準とし、50,100,125,250,500m四方の5スケールを設定し、最終的にトンボ類の調査区と同じ500m四方で集計した。集計スケール内に複数のSU算出値がある場合、合計値・最大値・最小値・中央値を算出した。LU/SUの組合せから合計96通りをCOMBとcSIのそれぞれで算出し、種数と多様度指数の各々で最適モデルを選択した。その結果、共通してCOMBが目的変数に対する説明力が高かった。また、SUの最適スケールについては、種数では250m四方、多様度指数では50m, 100m, 250m四方の順で説明力が高かった。Land use unitの最適スケールは10mもしくは125mで説明力が高いという結果になったものの、共通した傾向が見られなかった。 研究②「大・中規模の止水環境の内包する微視的環境によるトンボ類の生息規定要因」、研究③「ジャカルタ郊外農村域の小規模ため池の分布・管理状態・利用形態とトンボ相の関係」については、止水環境が内包する微視的環境による生息規定要因の解明に向けて、その基礎データとなるトンボ類の分布情報及び環境情報を収集するための現地調査を行った。2013年8月・9月に、前年度に引き続き乾季の二回目のトンボ類分布、護岸や植生などの微視的環境の調査を、2014年2・3月に同じく雨季の二回目の分布調査と水質分析に用いるサンプリングを行った。トンボ類の分布データについては、各季2回・通算4回分のデータ収集が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジャカルタでの現地調査を3回実施し、博士論文執筆のためのデータの収集をおおよそ完了することができた。また、分析途中の結果であるが国際学会での発表、共同研究者との議論を経て、今後の研究のブラッシュアップに必要な議論を得る事が出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査はおおよそ完了しているため、今後はさらなる解析を進め、投稿論文としてまとめていく。現在、3本の原著論文を準備している。研究①については、各土地利用項目の面積がトンボ類の種数及び多様度指数と相関が見られることから、この分析で用いたCOMBを、各項目の面積と在・不在による影響の重み付けするなどの改良を行い、再度検証を行っている。研究②・③については、サンプリングした水質の分析、及び収集したデータを用いた解析を進め、トンボ類の生息規定要因の解明とため池をはじめとした止水水辺環境の評価に用いる生物多様性指標の構築を試みる。これらの結果と、参画している研究プロジェクトの共同研究者と現地視察と予備調査を行い、意見交換及び最終的に行う各ステークホルダーに対する政策提案内容について確認を行っていく。
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Research Products
(1 results)