2013 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞及びマクロファージの分化、応答へのsulfatideの作用解析
Project/Area Number |
13J05280
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金森 光広 京都大学, 生命科学研究科, 待別研究員(DC2)
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Keywords | 樹状組胞 / サブセッ卜 / sulfatide / サイトカイン / 応答制御 |
Research Abstract |
脾臓のCD8陽性樹状細胞(以下CD8^+DC)および骨髄より誘導したCD8^+DC様の細胞を実験に用いた。糖脂質sulfatide添加によるCD8^+DCの炎症性サイトカイン産生低下は、Toll様受容体9のリガンドであるCpGを刺激に使用した場合に顕著であった。またsulfatideはこの時のIL-12産生に加え、I型インターフェロンも抑制することが明らかになった。 炎症性サイトカインのIL-12については、細胞内のタンパク量がsulfatide処理により減少した。ところが、IL-12のmRNA量も低下する傾向を観察しているが有意ではない。したがって、sulfatideはIL-12の産生を翻訳あるいはそれ以前のレベルで制御していることが示唆された。マウス生体にCpGおよびsulfatideを投与する系でも、sulfatide投与による脾臓CD8+DCの細胞内IL-12レベルの低下が認められた。 Sulfatide存在下あるいは非存在下でCpGにより活性化したCD8^+DCの網羅的遺伝子発現解析を行ったが、上記の現象に関連するような顕著な遺伝子群の発現変化はみられなかった。サイトカイン産生に関わる転写因子NFĸBの活性化はsulfatideによる抑制をわずかに受けるのみであったが、Interferon regulatory factor 1 (IRF1)の活性化は強く阻害された。加えて、CpG刺激時のCD8^+DCの炎症性サイトカイン産生の増強には1型インターフェロンが重要であることが明らかになった。従ってsulfatideはIRF1の活性化を抑制することによりI型インターフェロンおよび炎症性サイトカイン産生を抑制する可能性が示唆された。これはsulfatideの作用機序を解明する上で重要な一歩であり、この知見を参照しつつ今後生体内でsulfatideの作用を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD8陽性樹状細胞を用いて、25年度中にsulfatideの分子レベルでの作用機序を解明する予定であった。I型インターフェロンの関与が示唆されるなど一定の進捗がみられたものの、作用機序を明らかにすることはできなかった。また予定していたIL-12のmRNA量の解析も検討中であり、少々遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにCpGと共にsulfatideを投与し、血清中や脾臓DCの産生する炎症性サイトカインがsulfatideにより抑制されるか検討する。さらにCpGをアジュバントとしてタンパク抗原に対するT細胞応答を誘導する実験にて、sulfatide投与がT細胞応答の性質に及ぼす影響を検討する。またマウスに継続的にsulfatideを投与し、脾臓DCマクロファージの分化への影響を検討する。 DCに与えるsulfatideの影響がマクロファージでもみられるかについても検討し、成果の公表のための補助的な実験も行う。実験は現状の設備で行えるものと考えている。
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