2014 Fiscal Year Annual Research Report
シベリアに居住するチュルク語系民族の音楽文化における「固有性」と「共通性」
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13J05633
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
山下 正美 東京藝術大学, 音楽研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チュルク / トゥバ / サハ / シベリア / 民族楽器 / 喉歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに入手した諸資料の整理・分析を進め、口頭発表を行うと共に、チュルク語系民族であるトゥバ共和国をメインに、サハ共和国、クルグズ共和国(キルギス)、カザフスタンへ渡航し、諸資料の収集にあたった。 資料調査では、トゥバの現地研究者らによる諸資料(SUNDUI(2013), SUZUKEI(1989; 2007; 2010)など)を参照し、トゥバの喉歌ホーメイ歌手たちの基本的データ(生年、出身地域、職業領域、ホーメイを始めた年齢、習得方法、コンクール・コンサートへの出演経験、演奏可能な楽器、製作可能な楽器、使用レパートリー等など)や現状について、また楽器研究の枠組みや種類等々について整理した。 また、旧ソヴィエト諸国では20世紀前半の民俗音楽調査に作曲家が参画しているケースが散見されるので、そうした作曲家の業績(民謡集や研究書等)について、博士論文を下敷きにしながら調査を進めた。 本年度のトゥバ共和国現地調査では、前年度訪問した音楽関係諸機関を再訪しながら、新規の訪問先へと調査を進展させることができた。トゥバ共和国では、音楽学者や音楽家、楽器製作者、音楽学校の教員・生徒たちの協力を得られたことで、コンサートやそのリハーサル風景・民族楽器アンサンブルの全体練習や個人レッスンの様子、音楽関係者らへのインタビュー調査などの録音・録画資料を約19時間分、収録することができた。帰国後、インタビューデータの文字起こしの作業を進めると共に、次年度の研究発表に向けて入手した資料の整理・分析、関係者との連絡調整作業等々を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、前年度までに入手した諸資料の講読を進めると共に、口頭発表を3件行った。 現地調査では、前年度中に面識を得ていた音楽関係者・諸機関を再訪し、新規の訪問先を開拓しながら最新資料を入手することができた。またインタビュー調査を充実させることができたのも、大きな収穫であった。帰国後のインタビューデータ文字起こし作業もおおむね順調に進んでおり、次年度の研究発表に向けた準備も進んでいる。 本年度末にはクルグス共和国やカザフスタンに渡航する機会を得て、調査地を広げることができた。音楽学校・大学の様子や楽器博物館の見学、現地で入手した諸資料等も適宜、本研究へ反映させていきたい。 前年度までの成果を基に今年度の調査へとつなげ、さらに次年度の研究発表に向けた見通しもついてきていることから、おおむね順調に研究が推移したものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、文献・映像・音源等々、現地で得られた諸資料の講読を進めながら、インタビューデータの文字起こし作業を次年度前期中にも完了させる予定である。その後、データの内容について適宜、被調査者へ確認をとり、文献資料や音源・映像資料等々とも照らしながら比較・考察し、吟味する。この作業を繰り返しながら問題を焦点化し、研究発表へとつなげていきたい。次年度も所属学会や研究会等での発表を予定しているので、研究発表や現地研究者らとの意見交換・議論、関連学会・研究会への参加を通して最新の研究成果・動向にも注意を払いながら、さらに研究を深めていきたい。
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