2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 崇人 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニンガルー・ニーニョ / ニンガルー・ニーニャ / 沿岸湧昇 / 大気海洋不安定相互作用 |
Research Abstract |
観測データを用い、新たに見出された気候変動現象であるニンガルー・ニーニョ現象(NN)について調べた。NNは豪州北西端付近にその中心をもち、同現象は夏に発生する事が分かった。そして、その成長過程によりlocally amplified modeとnon-locally amplified modeに分類できる事が分かった。前者では、局所的に正のフィードバックが働いていることを発見した。このフィードバックを、赤道と沿岸の力学の相似性に着目し、caastal Bjerknes feedbackと名付けた。後者は、主に熱帯太平洋の変動に強制されていることが分かった。さらに、どちらの場合も正の海面水温偏差に伴い、オーストラリア西岸域に低気圧偏差が生じるが、オーストラリアモンスーンの強度や南極振動の位相の相違により、大陸上の海面気圧が異なることが、両者の差異を生む事が分かった。 NNに伴う大気循環偏差の形成機構を調べる為に、大気大循環モデルを用いた実験を行った。南インド洋東部でのみ海面水温の経年変動を許した実験でも、NN発生年には豪州西岸沖に負の海面気圧偏差が形成され、局所的な正のフィードバックの存在を支持する結果となった。熱帯太平洋でのみ海面水温が経年変動する実験でも、西太平洋熱帯域の対流偏差への松野-ギル応答によりNN発生年には同様の海面気圧偏差が形成された。また、NNは豪州北西部に正の降水偏差をもたらす事を初めて明らかにした。 観測データや再解析データに加え、大気大循環モデルの結果を用いて、ニンガルー・ニーニョが持つ局在性や季節性の規定要因を調べた。その結果、大気内部変動の重要性が明らかになったほか、沿岸風偏差の季節性や局在性、豪州西岸に沿う海面水温勾配の時空間的変化が肝要であることを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに見出された気候変動現象であるニンガルー・ニーニョのメカニズムやその局在性、季節性を、観測データや大気大循環モデルを用いて明らかにした。さらに、大気大循環モデルの実験によりニンガルー・ニーニョの豪州の降水への影響を明らかにした。また、混合層熱収支解析を行うために、豪州西岸域で高解像度である海洋大循環モデルを構築し、約60年間積分した。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋大循環モデルの結果を用いて混合層熱収支解析を行い、ニンガルー・ニーニョの形成メカニズムの詳細を明らかにする。 大気海洋結合モデルの結果を解析する事で、結合系のなかでのニンガルー・ニーニョの実態を明らかにする。さらに、熱帯域の海面水温を気候値に緩和した実験を行うことで、エル・ニーニョ/南方振動やインド洋ダイポールモード現象等、熱帯域の大規模な気候変動現象によるニンガルー・ニーニョへの影響を明らかにする。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] On the Ningaloo Niño-Niña2013
Author(s)
Kataoka, T., T. Tozuka, S. Behera, T. Yamagata
Organizer
International Symposia on recent progresses in climate variability study : New Faces of Climate Var iability
Place of Presentation
海洋研究開発機構 横浜研究所(神奈川県)
Year and Date
2013-10-30
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