2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J06195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 弘昭 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 天然資源 / 農業政策 / 食料安全保障 |
Research Abstract |
今年度は、研究計画に従って①資源関連政策の決定要因に関する分析、2政策による経済パフォーマンスの変化の定量評価についての分析を行った。 ①に関しては、天然資源の一例として長期の農業政策指標を用いた機産物の政策の決定要因に関する分析を行った。OECDが毎年発行している農業の保護の強さを示す農業支持指標を日本のデータに関して明治初期まで遡り推計し、日本の農業政策がどのような要因で解明されてきたかを分析することを目的としている。OECD諸国のデータを用いて初期に行った分析がOECDの農業政策評価レポート2013の第一章のコラムに掲載された。そこでは、経済成長初期から中期においては多くの国がほぼ同じ要因から農業政策が進展(農業搾取から農業保謹へ)するのに対して、経済成熟期において農業政策の決定要因は脱明できない何かで決定されることが多くなることを示した。この結果は各国の政治形態や地理的条件などの各国の個別条件が重要であることを示唆しており、日本において長期データを用いて推計を行うモチベーションになった。 ②に関しては、現在多くの発展途上国で喫緊の課題である食料安全保障について、インドネシアの家計データを用いてリスクとそれに対する政策の定量評価を行った。スタンダードな需要推定モデルであるAIDSモデルを用いて、家計レベルの価格・所得弾力性を計算し、実際に起こりうる価格、所得、生産の外的ショックに対して栄養不足に陥る家計数を定量的に測定した。また実際に予定されている対策について、それらがどれくらい食料不足(栄養不足)を軽減できるかについても評価できるフレームワークを開発した。論文が国際学会(European Association of Agricultural Econornists Congress 2014, Asia Pacific Economic Association Annual Conference 2014) ・国内学会(日本経済学会春季大会(ポスター報告))にアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上の研究の概要のとおり、おおむね年初の研究計画に沿って、研究が遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
食料安全保障のリスクと政策効果の定量評価についての研究は、二つの国際学会と一つの国内学会(ポスター)において発表を採択されており、それを経てOECDのワーキングペーパー掲載後、学術雑誌への投稿を予定している。発展として、食料安全保障に関する国際協定のあり方について検討を進めていきたい。農業政策の決定要因に関する分析は現在データの整理の段階であるが、最終年度中に分析まで進めていく予定である。最後に資源管理制度の国際協調に向けた分析として、政治的要素を政策決定プロセスに内包した理論モデルを構築中である。この研究に関しても、内外での発表などを通じて進めていく所存である。
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Research Products
(2 results)