2014 Fiscal Year Annual Research Report
河川流出・水温モデルを用いた将来の広域遺伝的多様性推定手法の開発
Project/Area Number |
13J06493
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
糠澤 桂 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 適応進化予測 / 遺伝的多様性 / 水生昆虫 / 気候変動 / 生息場適性指数 / 種多様性 / Maxent |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,気候変動に伴う将来の遺伝的多様性を推定する枠組みを確立することを目標とする.平成26年度は,現在気候における水温・水理勾配に沿った適応進化過程を考慮した水生昆虫4種の遺伝的多様性推定モデルを開発し,国際学術雑誌にて発表した.この論文執筆・発表と並行して,気候変動下の水文データ取得,生物多様性推定モデルの改良等を行った.これらの概要を以下にまとめる. 8種類の全球気候モデル(e.g., MIROC5)から将来の降水量・気温データを取得した.降水量・気温が対象地域において対数正規分布・正規分布に従うと仮定し,将来気候値と現在気候値の比・差を3か所のアメダス観測所の観測値に補正してバイアスを補正した.これら将来気候値を水文モデルの入力値として,将来の水温,流速,水深を予測した.現在は,予測された水文量に基づいて将来の水生昆虫の適応的進化過程を考慮した遺伝構造変化を解析中である. 分布型水文モデルを用いて種多様性を推定するモデル(糠澤ら,2013)の改良を行った.従来の頻度分析に基づく生息適性指数(HSI)に加えて種分布推定ソフトのMaxent(Philip et al., 2006)を採用し,両者の精度比較を行った.また,両手法により推定された6分類群のHSIから種多様性指標(種数,多様度指数など)を推定した.この推定結果と,魚類,両生類,昆虫類の在データから成る種数と相関をとった結果,種多様性指標の中でMaxentによるHSIを用いた多様度指数(ME多様度)が最も統計的有意な正の相関を示した.最終的に,最も信頼性の高いME多様度と観測された水生昆虫の遺伝的多様性を比較し,種-遺伝的多様性相関仮説(Vellend, 2005)を検証した.しかしながら,ME多様度は4種中1種の遺伝的多様性とのみ有意な正の相関を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展した平成25年度と比較すると,平成26年度は期待通りの進展だったと考える.その理由として,当初の計画では26年度までにデータ整備を終了し,一部の解析並びに論文執筆に取り掛かる予定であった一方,実際は適応進化過程を考慮した遺伝的多様性モデルに関する論文発表を済ませており,かつ種多様性と遺伝的多様性の解析並びに論文投稿も行っていることが挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては,4種水生昆虫の適応的進化過程を考慮した気候変動下の遺伝構造変化の解析を継続して行う.具体的には,アンサンブル平均した将来の水温,流速,水深指標に沿った対立遺伝子頻度に基づいて,将来の遺伝的多様性マップと遺伝的に類似する集団マップを作製する.加えて,将来の生息場適性指数(HSI)マップも作成し,生息ポテンシャルの将来変化と遺伝子の結果を比較して考察する.本研究は世界で初めて適応的進化過程を考慮した温暖化後の遺伝子予測研究となるため,得られた結果をまとめて,インパクトの高い国際学術雑誌に投稿する予定である.
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Research Products
(13 results)