2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06520
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 圭介 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハドロン物理学 / QCD和則 / 最大エントロピー法 / 有限密度 |
Research Abstract |
ハドロンが存在する低エネルギー領域では、量子色力学の非摂動論的な効果によりカイラル対称性の自発的な破れ等の様々な現象が引き起こされ、ハドロンの性質を理解する事が容易ではなくなる。本研究では、QCD和則を用いて非摂動論的な性質を特徴づけるQCDの凝縮とハドロンの関係に注目して解析を行った。平成25年度には以下の研究を行った。 ・核物質中での核子についての研究 核子のカイラルパートナーの性質を調べるために、核物質中で核子の正負パリティ状態のエネルギー、有効質量、自己エネルギーの密度依存性を調べ、これらの量と強く関係している凝縮を調べた。研究結果としては、カイラル対称性の秩序変数であるスカラー型のクォーク凝縮だけではなく、ベクター型のクォーク凝縮も正負パリティ状態のエネルギー等と強く関係していることがわかった。 ・核物質中でのφメソン解析を利用した核子のストレンジネス要素についての研究 核子のストレンジネス要素は核子構造のストレンジクォークからの影響、またストレンジクォークとカイラル対称性の関係を理解するうえで重要な量である。研究結果としては、核物質中でのφメソンの質量の変化と核子のストレンジネス要素の値が密接に関係していることを示した。 ・複素変数に拡張したQCD和則の構築 解析の際に実数しが使用されていなかったパラメータを複素領域にまで拡張しQCD和則を構築した。従来のQCD和則よりも正確にハドロンの性質を調べることが可能になることが期待される。研究結果としては、実パラメータのみを用いたQCD和則解析よりも正確に真空中でのφメソンのスペクトル関数を導出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、パリティ射影したQCD和則による真空中での解析を有限密度下での解析に応用し、核子の正、負パリティ状態の質量等、またこれらの量とどの凝縮との関係が強いのかを調べることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としてはQCD和則による解析を、ライトクォークを含むハドロンだけではなく様々なハドロンに応用し、統一的にハドロンの質量等の量と凝縮の関係を調べていきます。従来のQCD和則による解析が全てのハドロンに対して成功する保証なないので、その際には複素変数に拡張したQCD和則を使用することも考えています。
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Research Products
(9 results)