2013 Fiscal Year Annual Research Report
高次元離散空間上の分布形状解析手法の開発、及びその情報生命科学における応用
Project/Area Number |
13J06668
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 遼太 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RNA / 二次構造 / 熱力学的ゆらぎ / 準最適構造 / 5´-3´距離 |
Research Abstract |
本年度については提案手法をRNA二次構造関連問題に応用し、また自ら実際に開発ソフトウェアを用いた解析を行い、生物学的知見の発見を狙いながら高速化や分布情報の表現方法に関する改善を行う計画であった。具体的には、1.RNA二次構造予測に対して提案手法を適用したものを実装、評価すること、2.速度と厳密さのトレードオフ調整オプションの実装やGPUによる高速化に取り組むこと、3.新規機能性RNAの探索や熱力学的ゆらぎと進化的保存度の関係のような本手法により可能となる解析を行うということとしていた。このうち2.に関しては本手法実装時点での性能のベンチマークによって、優先度が低いと判断し、代わりに第二年度に取り組む予定であった内容の一部である、RNA二次構造予測問題以外への応用として、4.RNA二次構造の5´-3´距離と呼ばれる物理量の長さの分布を高速かつ厳密に計算する手法の開発、実装した。1.に関しては主にJSBi2013にて「A method for calculating stability of RNA secondary structure」という題目で、4.に関しては主にBiWO2013にて「A fast and exact calculation for various score distributions of RNA secondary structure」という題目で成果発表を行った。現在は、本手法を一般化したアルゴリズムに関する議論及び1.4.を組み合わせた内容で論文の投稿準備を行っており、また、3.に関しても得られた知見をまとめた論文を執筆中である。これらの研究成果によって、RNAの高次構造に関して、これまでは見落とされてきたような熱力学的ゆらぎや準最適構造の存在を始めとする様々な重要な特徴・情報の抽出を行う事が可能となった。本アルゴリズムを利用することで、今後生物学的な知見に関するより深い議論や知見の発見が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗のみに注目すれば当初の申請書に従えば本来二年度目に行うとしていたものに関してもすでにアルゴリズムの開発が成功し計画以上の進展と言うことができるが、対外的な発表という意味においては論文化が当初の予定よりやや遅れてしまっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは現在までの研究成果を早急に論文の形としてまとめ、それからは当初の研究計画に従い、RNA二次構造推定に関してより実用的な解析ソフトウェアの開発を行うとともに、RNAにかぎらず情報生命科学の他の様々な問題に対して提案手法の応用を行っていく。
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Research Products
(2 results)