2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物の機能未知タンパクSOG1と動物ガン抑制因子p53との機能類似性の検証
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13J06703
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
濱崎 英史 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 特別研究員DC2
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Keywords | SOG1 / SnRK1 / sd3 / Antimycin A / ATP / BiFC / 細胞周期 |
Research Abstract |
昨年度の研究実施状況としては、まず、遺伝学的手法を用いてsd3変異体におけるSnRK1の働きについて調べた。仮にATPをシグナル因子とした細胞周期制御機構が存在し、SOGI同様にSnRK1が情報伝達経路を担う1因子として機能しているのであれば、sd3変異体が示す表現形質はSnRK1が壊れることで相補されることが予想される。 予備実験としてATP合成阻害剤であるAntimycin A処理をすることで疑似sd3変異体の表現型を示す野生株およびs5d3変異体にAMPKの活性を抑える薬剤であるCompound Cを処理したところ、双方ともsd3変異による矮化は観察された。また、2重変異体sd3snrk1 (sd3kin10およびd3kin11変異体)を作出し、これらを明所で育て、その表現型を調べたところ、子葉の展開直後に生育が停止するsd3変異体とは異なり、生長を続けて本葉の形成に至った。また、sd3kin11、sd3sog1変異体を暗所で育てた場合には、sd3変異体で観察された短い胚軸の表現型ではなく、核相の増加を伴う細胞伸長が起こって野生型と同様の長さの胚軸が観察された。一方、sd3変異体でのATP量の減少は、kin11およびsog1変異では回復しなかった。以上の結果から、植物にも細胞内ATPを情報因子とした細胞周期を調節する伝達経路は存在する可能性が推察された。 生化学的解析としては、蛍光タンパク質再構成法(Bi-molecular Fluorescent Complementation : BiFC)を用いた細胞生物学的手法でSOG1とSnRK1の相互作用を調べた。Nicotiana tabacumの表皮細胞を用いて相互作用の有無を調べたところ、Antimycin A処理時(細胞内のATP量は少ない時)にSOG1とSnRK1との相互作用が起こっていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
"おおむね順調に進展している"と評価した理由として、昨年度中に計画していた3つの実験項目のうち、2つの実験を終え、また、現在は実験と並行してこれらのデータを論文に纏めて論文投稿の準備へ取り掛かることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、BiFCでの相互作用の結果を詳しく調べるため、共免疫沈降法を行う予定である。 さらに、SOG1がp53の機能的ホモログであることを検証するために、ATP量に依るSOG1のリン酸化の有無を調べている。動物p53は、細胞内ATP量が減少することで活性化するAMPKによってリン酸化されている。動物AMPKと植物SnRK1は相同性が高く、SOG1のアミノ酸配列にも複数のリン酸化サイトがあることが知られているため、SOG1はリン酸化修飾される標的因子の可能性が考えられる。 また実験と並行して、上記のデータは論文を執筆するために随時まとめており、今年度受理を目標に論文投稿の準備を整えている。
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Research Products
(2 results)