2013 Fiscal Year Annual Research Report
実験的手法によるサービス設計知識の分析とそれに基づく知的設計支援環境の開発
Project/Area Number |
13J06807
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
根本 裕太郎 首都大学東京, システムデザイン研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サービス工学 / サービス設計 / 設計実験 / 設計知識管理 / 設計支援 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、サービスの設計知識を計算機上で包括的に表現・管理し、その再利用により適切な設計支援を実現することである。本研究では「設計実験」と呼ばれる、複数名の被験者による模擬設計を通じて収集した発話をもとに実際の設計を分析する手法により、サービスの設計知識を分類し、上記を実現することを目指すものである。初年度の成果は、以下の通りである。 (1) サービスを題材とした設計実験の実施方法の整備 製品分野における既存研究を参考に、設計対象をサービスに読み替えて整理したのち、予備実験を行いながら詳細な課題や条件、環境等を定めた。これに従い、初年度は工学系の大学生(2人1組)を対象に計3回の設計実験を行った。各実験では、それぞれ①146回、②312回、③260回の発話を得た。 (2) 発話データの解析を通じたサービス設計知識の分類とその利用過程の分析 発話データを解析することにより、設計対象に関する知識を37パターンに分類した。他方、設計過程に関する知識を分析するためには、設計過程の傾向を把握可能とすることが重要である。そこで初年度は、サービス設計過程を可視化する手法を新たに開発した。 (3) 分析結果に基づくサービス設計支援手法と計算機支援環境の開発 設計対象知識の分析結果に基づき、サービスの過去事例を設計対象知識として計算機上で管理する手法を開発した。具体的には、知識の表現形式をコア製品、要求、機能、実体、アクタの5つの概念の組として定義した。さらにタグを用いた知識探索を実現し、容易に再利用することを可能とした。本手法に関しては、追加で被験者実験を行い、以下のような評価を得た。 ・自身の知識のみで解候補を導出するよりも、事例知識を参考にした方が現実的なアイデアを得られる ・多くの機能や実体の候補を検討できるようになるので、最終的な設計解の質が向上する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては、初年度の達成目標として、サービスを題材とした設計実験の実施方法を整備することを設定していた。これに対して、実際は、上記目標を達成するだけでなく、実験により得られた発話データの解析を通じてサービスの設計知識を分類し、それを反映したサービス設計知識の管理手法の開発に着手するまでの成果を達成した。このことから、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目指す計算機支援環境を構築するためには、サービスの設計過程に関する知識の分析を行い、それをもとに設計者を支援可能とすることが肝要である。そのため今後は、初年度に開発した設計過程の可視化手法を用いて、設計過程知識を分析・整理することを目標とする。また、実際のサービス設計には、専門分野の異なる多様な人材が参加することが望ましいと主張する研究が多い。初年度は、学生を対象に2人1組での作業を依頼したが、今後は多人数でのサービス設計実験を、異なるチーム構成(被験者の人数や専門分野)のもと複数回行い, その影響についても分析する。
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