2014 Fiscal Year Annual Research Report
実験的手法によるサービス設計知識の分析とそれに基づく知的設計支援環境の開発
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13J06807
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
根本 裕太郎 首都大学東京, システムデザイン研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サービス工学 / サービス設計 / 設計実験 / 設計知識管理 / 設計支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、サービスの設計知識を計算機上で包括的に表現・管理し、その再利用により適切な設計支援を実現することである。本研究では「設計実験」と呼ばれる、複数名の被験者による模擬設計を通じて収集した発話をもとに実際の設計を分析する手法により、サービスの設計知識を分類し、上記を実現することを目指すものである。平成26年度の成果は、以下の通りである。 (1)サービス設計過程の可視化手法の開発:本研究の目的を達成するためには、誰がどの時点でどのような知識を利用しているかを分析可能となることが望ましい。そこで、本研究では,上記の切り口のもと設計過程を分析可能とするために、ビジネスプロセスモデリング手法の一つであるIDEF0を基にした可視化手法を提案した。 (2)設計解の評価方法の体系化:上記の可視化手法を用いて、サービス設計過程を分析するにあたっては、複数の設計実験により得られた設計解の特徴や良否を評価する必要がある。本研究では、設計解の評価に用いられる特徴群を整理するために、設計分野における先行研究を調査した。これにより、新規性や有効性など一般的な設計解の特徴を表す語彙ならびにその評価法を体系化した。 (3)可視化結果に基づくサービス設計過程の分析:本研究では、(1)の可視化手法を用いて、被験者を変えて実施した3回の設計実験(設計課題は同一)における設計過程を可視化した。同時に、(2)で体系化した評価方法をもとに各実験の設計解の特徴を評価した。そして核設計解の評価結果に差が生じた原因を、可視化された設計過程をもとに推定することで、望ましい特徴をもつサービス設計解を生み出す設計過程の傾向(すなわち設計過程知識)を分析した。その結果、望ましい設計知識の利用の仕方について、計4つの仮説を立案することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において、平成26年度内にサービス設計過程における知識利用の傾向を分析することを達成目標として設定した。この当初目標に対して、発話データを構造化することでサービス設計過程を可視化する新しい手法を提案することに加えて、その手法を用いて実際の設計発話データの分析を行うことまでを達成した。このことから、平成26年度における研究は、おおむね順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、サービス設計過程の可視化手法を用いて、良い設計知識の利用の仕方に関する仮説を得た。一方で、これらの仮説は抽象度が高く、具体的なサービス設計支援手法の開発へと繋げていくためには、より焦点を絞った実験・分析が必要になる。本研究では、特に協業検討のステップに焦点をあて具体的な実験・分析を行う。この理由は、設計に参加する利害関係者間の明示的なコミュニケーションや交渉が非常に重要になるために、発話分析をするうえで良質なデータを得やすいためである。
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Research Products
(11 results)