2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J07268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
党 建偉 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2015-03-31
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Keywords | 特許担保融資 / 流動性 / 価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
特許権を担保に銀行から融資を受けるという特許担保融資は有形資産が少ない中小企業にとって、魅力的な融資手段の一つと指摘されている。しかし、特許の価値評価が難しくてコストがかかる。それに、特許の流通市場がないので、返済不可の場合、担保した特許の処分が難しい。そのため、ビジネスとして積極的に特許担保融資を行う商業銀行が少ない。「どのような企業、どのような特許に対し、銀行が融資を与えるのか」、新たな融資手段を求める中小企業にとっては、知りたいことではないかと思う。しかし、特許担保融資のデータが少ないので、今まで特許担保の銀行の融資決定への影響に関する研究はインタビューや少ないケーススタディーにとどまり、統計手法での実証研究は少ない。本研究では、特許担保融資の実態を把握するため、中国の特許担保融資を仲介する会計事務所の報告会、銀行の担当者から実務経験を聞いた。その後、中国特許庁から担保として使った特許のデータを入手し、データの制限と可能な分析手法を考えた。特許担保融資の意思決定モデルを構築し、理論的に企業の倒産確率、特許の価値、特許の流動性と融資決定の関係を説明する。それに基づいて、中国の特許担保融資データに基づいて、実証的にモデルと理論を検証する。本研究では、特許の流動性、つまりいかに容易にキャッシュに交換できるかを注目している。特許流動性の影響要因(汎用性、複雑性と技術競争)を分析し、特許の指標(技術分類数、発明者数、同じ技術分野の上位10社のシェア)を流動性と関連付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「どのような企業、どのような特許に対し、銀行が融資を与えるのか」という研究課題を中国の実証データで検証できた。次の年度内で計量モデルを修正し、よりロバストな解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
特許担保融資の対象となっている特許を分析する際に、融資対象となった企業に関するセレクションバイアスがある。担保融資を受けなかった企業はそもそも資金の需要がないのか、融資を申請したが、銀行側で通れなかったのか、データの制限で明確していない。今後、資金需要の変数を計量モデルにいれ、バイアスを除去する。
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Research Products
(3 results)