2013 Fiscal Year Annual Research Report
Body Area Networkチャネルにおけるアンテナ・ディエンベディング
Project/Area Number |
13J08831
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長縄 潤一 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電波伝搬 / Wireless Body Area Network / 球波動関数 / アンテナ・ディエンベディング |
Research Abstract |
本研究では, Wireless Body Area Network (WBAN)において、アンテナと伝搬路が分離されたチャネルモデリングの実現を目指している. 平成25年度では, 多重極を用いるというアイデアを, 数値計算ベースで実装するための方法を検討し, その原理が動作することを確認した. 具体的には以下の4点である. (1) SAR解析等に実績のあるFDTD法を選択し, FDTD法において多重極波源の実現方法を検討した. 提案手法はFDTD法の解析空間において立方体状の閉空間を考え, その表面上の電界接線成分を電流源として励振することでダイポールアレイを構成する. そのダイポールアレイの振幅・位相を制御することにより, 所望の多重極波源と同一の放射パターンを生成する. 提案手法の妥当性を検証したほか, セルサイズ・アレイサイズの影響を検討した. (2) FDTD法において多重極間の伝達関数の計算方法を示した. 具体的には, 送信アンテナ位置に(1)で実装した多重極波源を配置し, 受信点には電界の観測点を球状に配置する. 受信点において観測した電界を球波動関数で展開することで, 多重極間の伝達関数を得る. (3)提案手法の原理が, 人体とアンテナの距離が離れている場合に動作することを確認した. まずは(2)により多重極間の伝達関数を計算する. 次に, 対象のアンテナの放射パターンを球波動関数で展開することにより, 多重極の重ね合わせとしてモデル化する. そして, 以上2つの結果をもとに, 対象のアンテナに対する伝達関数を生成することができる. 提案手法により合成した伝達関数を従来手法で得られる伝達関数と比較することで, その妥当性を検証した. (4)人体とアンテナの距離が近い場合にも提案手法の原理が動作することを確認した. 基礎的な検証として, 人体は損失誘電体の無限平面としてモデル化した場合を想定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重極を用いるというアイデアを, 数値計算ベースで実装する方法を確立することができ, さらにその基本的な原理が動作することを検証することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は25年度に提案した数値計算ベースの実装方法の妥当性を精査する予定である. より現実に近いアンテナと人体を用いた場合にも提案手法が有効であることを検証する. その一方で, 多重極のモード数が増せば実装の複雑度が上がるため, 基本モードのみで実装できることが望ましい. そのため, 基本モードのみでどれほどの近似が可能であるかを検討する予定である. さらに, 測定べースの実装方法を検討する予定である. MIMO用に設計された小型三偏波アンテナを用いて, 多重極の基本3モードに対応させる方法を予定している.
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Research Products
(5 results)