2013 Fiscal Year Annual Research Report
華南権益をめぐる近代中仏外交史 -仏領インドシナの形成との関係で-
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13J09057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 明利沙 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国際関係史 / 外交史 / アジア史 / ヨーロッパ史 / 中国 : フランス / 植民地 / 仏領インドシナ / 鉄道 |
Research Abstract |
仏領インドシナ形成と保持という広域史的視点を取り入れながら、1890~1910年代の、おもに華南権益をめぐる中国-フランス間の外交関係を分析している。 今年度は中仏双方の外交文書の収集と解読に力を入れた。具体的には、フランスが中国に獲得した華南権益の代表例であった広州湾に関する文書に着目し、租借に至るまでの交渉過程と租借後の開発の過程を、中仏のやりとりを取り上げながら明らかにしていった。フランスの外務省文書館、植民地史料館のほか、台湾の故宮博物館文書館、中央研究院近代史研究所で史料調査を行った。植民地史料館で、仏領インドシナを含む当時のフランスの勢力範囲内に於ける、広州湾の位置づけの方針を記した外交文書に接するなど、フランスの対華南権益の認識やその背景に関して理解を深めることが出来た。中仏双方の、この時代の対仏、対中認識やその背景を整理することは、これまで中国史においてイギリス等と比べると十分に考察されてこなかった、19世紀末以降から20世紀初頭の中国に於けるフランスのプレゼンスや、中国との関係性を見直し据え直す手掛かりとなるものである。 史料収集に加え、今年度は研究会や学会における活発な報告を行った。主なものとして、現代中国学会修士論文報告会や、日本国際政治学会院生研究会、日本国際政治学会などが挙げられる。なかでも10月の国際政治学会における、広州湾に関する報告では、修士論文の内容に基づいて19世紀末の中国の権益をめぐる中仏関係について発表した。中国研究の他、西洋各国研究の側からも多くの御意見を得たことにより、研究が深まり今後の展望がより明確なものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた史料館において史料収集が進められたことで、研究が前進した。成果を発表する場や機会に恵まれたことで、自身の研究を客観的に整理することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
分析対象を、これまで中心的に扱ってきた広州湾に限らず、雲南・広西等で獲得された華南権益全般にまで拡げる。それらの緒権益の管理を、フランスが仏領インドシナ経営の中でどのように位置付けていったのか、中国側との交渉過程を踏まえながら、制度面や実態の側面双方から考察する。引き続き史料調査を行うとともに、成果として論文にまとめた上で投稿する。
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Research Products
(3 results)