2014 Fiscal Year Annual Research Report
雌蚊の宿主探索行動制御による蚊媒介性ウイルス感染症の予防
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13J09062
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
福光 由起 福岡大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒトスジシマカ / 宿主探索行動 / 蚊媒介性ウイルス感染症 / 生体アミン / ドパミン / オクトパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
“雌蚊が吸血対象を探索する行動(宿主探索行動)”を抑制するツールは、吸血行動に至る蚊の数を減らし、蚊媒介性ウイルス感染症を予防することが期待される。ツールの標的は、蚊に特異的なタンパク質を想定している。しかし、宿主探索行動の制御機構は不明な点が多く、標的となるタンパク質を選定できない。ドパミン(DA)やオクトパミン(OA)等の生体アミンは、神経伝達物質として昆虫の生理現象を調節する。そこで、制御機構の解明にむけ、生体アミンに着目した。本研究は生体アミンが宿主探索行動に及ぼす影響を検討する。次いで、それらが宿主探索行動を制御する際に、発現量が変動する宿主探索行動制御遺伝子を確認し、生体アミンが宿主探索行動を制御する機構を明らかにする。得られた知見をもとに宿主探索行動制御タンパク質を標的とした、新しい抑制ツールの創出を目指す。 これまで、DAとOAがヒトスジシマカ雌の宿主探索行動に影響を及ぼすことを明らかにした。そこで、本年度は、遺伝子発現解析にむけ、次世代シーケンサーを用いてヒトスジシマカcDNAの塩基配列を決定した。このとき、宿主探索行動を行う羽化後6日の雌成虫と宿主探索行動を行わない幼虫・蛹・雄成虫・羽化直後の雌成虫からサンプルを採取した。シーケンスの結果、93,946本のcDNAの塩基配列を得た。そして、公開されているcDNAの塩基配列を加えた13,037種の遺伝子に由来するヒトスジシマカ塩基配列データセットを構築した。構築したデータセットは、宿主探索行動を行うサンプルでのみ得られた遺伝子1,027種と、行わないサンプルでのみ得られた遺伝子2,180種を含んでいた。よって、次年度は、構築したデータセットに基づく独自のヒトスジシマカマイクロアレイを作製し、DAやOAによって発現量が変動する宿主探索行動制御遺伝子の特定を効率的に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、次世代シーケンサーを用いてヒトスジシマカcDNAの塩基配列を決定した。その結果、13,037種の遺伝子に由来するヒトスジシマカ塩基配列データセットを構築した。このデータセットは、宿主探索行動を行うサンプルでのみ得られた遺伝子と、宿主探索行動を行わないサンプルでのみ得られた遺伝子を含んでおり、今後、宿主探索行動の制御機構を解明する基盤となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から、ヒトスジシマカ塩基配列データセットを構築した。次年度は、本年度得られた「宿主探索行動を行うサンプルでのみ得られた遺伝子」と、「宿主探索行動を行わないサンプルでのみ得られた遺伝子」について、リアルタイムPCRを用いて今回の結果の検証を行う。また、構築したデータセットをもとにヒトスジシマカマイクロアレイを作製し、DAやOAにより宿主探索行動の減少が確認された雌蚊に対し、遺伝子発現解析を行う。対照群に対して有意な発現量の差が認められた遺伝子は、宿主探索行動の制御遺伝子候補とし、宿主探索行動に与える影響を検討する。
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Research Products
(1 results)