2013 Fiscal Year Annual Research Report
機能化マイクロカプセルを用いたips細胞大量培養・分化システムの構築
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13J09088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀口 一樹 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ips細胞 / 大量培養 / アルギン酸 / 増殖因子 / 透析 |
Research Abstract |
マウスips細胞を3種類の異なる形式のアルギン酸カルシウムカプセル中に固定化して培養することで, 最適なカプセル形式を選択するとともに, 未分化維持のメカニズムの解明を行った. カプセル形式として, 1)アルギン酸カルシウムゲル単体で構成されるNAKED型, 2)NAKED型カプセル表面にポリ-L-リジン(PLL)によって被膜を形成させたCOATED型, 3)アルギン酸/PLL膜の被覆処理後にEDTA処理によってアルギン酸カルシウムゲルを構成するカルシウムイオンを取り除き, カプセル内部を流動化させたHOLLOW型を用いた. 結果, ips細胞のカプセル固定化にはアルギン酸/PLL膜の形成および破砕が必要であり, 大量培養への応用は困難であることが明らかとなった。 そのため, 当初の目標であった微小空間での増殖因子・分泌因子を保持しつつ, 栄養基質および老廃物の交換を実現する代替手段として, 透析膜を備えたカルチャーインサートの作製をおこなった. 作製した透析膜付きカルチャーインサートの性能を評価するため, FITCおよびFITC修飾デキストランの透過実験を行った. FITCまたはFITC修飾デキストラン溶液をカルチャーインサートの内側に, PBS(-)を外側に加え, 静置および撹拌を行い, カルチャーインサート内部のFITCおよびFITC修飾デキストランの量の経時変化を蛍光プレートリーダーで測定した. 結果として, FITC(分子量389)は培養開始5時間で50%以上が透析膜を透過していたのに対し, FITC修飾デキストラン(分子量10kDa, 20kDa, 70kDa)はほとんど透過しないことが示された. また, 撹拌の有無での比較では, FITC修飾デキストランの透過には影響がなかったが, FITCの透過は撹拌があると加速することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カプセル固定化培養に関する評価は論文化し, 一通り完成させた点は評価できると考える. 一方でカプセル固定化, 培養の大量培養への応用はアルギン酸/PLL膜の破砕および細胞の回収という困難な課題に直面した. しかし, 代替法として透析を導入することで, 当初の目標であった培養空間中での増殖因子・分泌因子の保持および増殖因子の投与量削減を実現させ, 目標達成への道筋を立てることができた. 以上のことから, 研究目的の達成はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り, カプセル固定化を用いた大量培養システムの設計は, カプセルの破砕および細胞の回収という観点から困難であることが明らかとなった. そのため, 次年度は代替策としてカプセル固定化の代替法としてこの透析膜付きカルチャーインサートを用いて凝集体培養を実施し, 当初の目的である微小空間での増殖因子・分泌因子の保持が凝集体の増殖・分化に与える影響を調査する. その評価を通して, 透析培養による培養コスト削減効果を評価する.
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Research Products
(4 results)