2014 Fiscal Year Annual Research Report
超高温延性領域における地熱開発のための誘発微小地震発生メカニズムの解明
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13J09170
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
椋平 祐輔 東北大学, 流体科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 誘発有感地震 / 能動的地熱開発 / 超高温延性領域 / 次世代型地熱開発 / 熱応力 / 室内岩石実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,超高温延性領域内における地熱開発時の,誘発微小地震の発生に関して岩石力学・地震学の新理論を導出するとともに,数値シミュレーション,室内実験等により貯留層内外での地震発生現象の解明を試みる。これにより,超高温延性領域内における能動的地熱開発時の誘発微小地震の発生可能性,発生メカニズム,有感地震発生リスク,微小地震による貯留層モニタリングの可能性を明らかにすることを目的とする。前年度に実施した研究より、超高温延性領域における地熱開発時に発生すると考えられる熱応力を理解することが必要であると考えた。本年度は実験的に超高温延性領域,それと同等な条件下で高温の岩体に対して注水実験等を行うことで,熱応力を再現しその現象の解明,破壊への寄与に迫ることとした。 岩石で同心円状(直径30mm)のピストンと肉厚円筒(直径75mm)を作成する。この岩石試験片に対して,封圧下で打ち抜き試験を行い,試験片の摩擦係数を計測する予備実験を行う。次に岩石試験片を熱した状態にした後,低温水を注入する。ピストンと肉厚円筒間を模擬き裂とし,その間を低温水が流れ,熱応力が生じると予想される。その状態で再度ピストンを打ち抜き,加重を測定する。予備実験の際にピストンに作用していた封圧が,熱応力によって緩和され,ピストンを打ち抜くのに必要な荷重が減るはずである。ここで測定した荷重と,クーロンの破壊基準に熱応力の効果を与えた式によって岩石試験片と注入した低温水との温度差によって生じる熱応力が測定できると考え,実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験と類似した透水実験結果より,本実験方法を検証した。本試験片を用いた他の実験結果によると封圧15~20MPa下でピストンと肉厚円筒が接する。しかし,その実験結果を解釈する際に,ピストンと肉薄円筒との接触が不安定であり,き裂と想定している部分の開口幅が一様ではならない可能性が高いことが分かってきた。そのような場合,ある一部の接触点からのみ封圧を受ける,また熱応力が一様でなく分布する可能性がある等,不確定要素が多い。そこで,実験手法を再設計することが必要である事が判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに設計した実験方法では,モルタルで作成する模擬岩石試験片内にあらかじめ歪ゲージを埋め込む。さらに引っ張りき裂を作成し,模擬既存き裂とする。三軸試験器を用い,高温・封圧下にあるに冷却水を注入し,生じる熱歪みを直接測定しようとするものである。またこの熱歪みから,熱応力は計算できると考えている。このように新たな実験方法を設計し,試験片の作成,実験装置の改良に取り組んでいる状況であり来年度中の熱歪みの測定を計画している。 上述のように,同心円状のピストンと肉厚円筒を用いた熱応力推定実験を再設計する必要があることから,申請時の研究計画にはないが,他の物理情報から熱応力を推定する方法も検討することとした。本年度,日本-スイス若手研究者交流事業(特別研究員)の募集があり,博士課程時に短期滞在したスイス連邦チューリッヒ工科大学地質工学グループ,スイス地震局のグループがアイスランドの地熱発電所における微小地震データと低温水還元データから熱応力の発生を研究していることから,本プログラムに応募し,採択された。現在,チューリッヒ工科大学にて,低温水注入と熱応力発生,微小地震発生の関連性を探っている段階である。
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Remarks |
本年度はJSPS日本-スイス若手研究者交流事業(特別研究員)に採用され、2015年より、ETHZurichで研究を実施している。
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Research Products
(15 results)