2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒッグスセクターの理論的研究と加速器実験による次世代ラグランジアンの決定
Project/Area Number |
13J10031
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菊地 真吏子 富山大学, 理工学教育部, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ヒッグスセクター / 拡張ヒッグス模型 / 加速器実験 / 新物理 / ヒッグス結合定数 / 量子補正 |
Research Abstract |
D+T模型のhγγ、hWW、hZZ、hhh結合定数(hは標準模型的ヒッグスボソン)を1ループレベルで計算し標準模型の予言からのズレを評価した研究(論文[PHYSICAL REVIEW D87,015012])について3つの海外国際会議(学会発表1、3、4)で研究発表した。hγγ結合とhhh結合は標準模型からのズレが逆になるという相関関係を持っており、これはD+T模型の重要な証拠の一つとなりえることがわかった。 次にD+D模型の解析を行った。ソフトに破れた離散対称性(Z2対称性)をもつD+D模型には、湯川相互作用が異なる4つのタイプが存在する。我々はその4タイプにおいて、全てのh湯川結合定数に対する電弱セクター・スカラーボソン1ループ補正を質量殻くりこみ法で計算した。様々な湯川結合の標準模型の予言からのズレのパターンが模型タイプで異なる。そのズレのパターンで模型を識別することができ、また国際線形加速器(ILC)の測定精度と比較したときに量子補正の効果は無視できない重要な効果であることがわかった。その結果を論文(論文3)にまとめ、1つの国内研究会(学会発表7、9)と2つの国際会議(学会発表6、8)において研究発表を行った。 また、交付申請書の「研究実施計画」に記載した3つの拡張ヒッグス模型以外にも、高い表現のヒッグス場を含むエキゾチック拡張ヒッグス模型を対象として湯川結合、ゲージ結合などいくつかのヒッグス結合定数についてツリーレベルの研究を行った。LHC実験の場合のhの様々なシグナルイベント率も解析し、さらに各模型において電弱精密測定データからパラメーター領域に制限をかけた。ゲージ結合の絶対値が標準模型の値より数十%程度大きくなり得ることがわかり、このようなエキゾチックヒッグス模型の兆候は将来のh結合精密測定で検証することができると考える。この研究結果を論文(論文1)にまとめ、国内学会(学会発表5)にて研究発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
拡張ヒッグス模型においてのヒッグスボソン結合定数の量子補正を含めた精密計算の研究は、当初の計画の通りT+D模型とD+D模型について解析が進み、論文にまとめている。それに加えて、高い表現のヒッグス場をもつようなエキゾチック拡張ヒッグス模型のヒッグスボソン結合定数の研究も行い論文にまとめており、拡張ヒッグス模型のビッグス結合定数の性質の研究は当初の計画以上に充実したものになっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
D+D模型において、既に先行研究で計算されているゲージ結合、ヒッグス自己結合、ループ結合の1ループ補正を再導出する。さらに今までのヒッグス結合定数の解析にQCDループ補正の効果も含めて計算し、その寄与を含めた上での新物理の効果による標準模型の予言からのズレを評価する。そこまでの結果をD+D模型ヒッグス結合定数のフル論文としてまとめる。 また、D+S模型やイナート二重項模型などの新物理模型として有用な拡張ヒッグス模型のヒッグス結合定数についても量子補正を含めて計算し、付加的ヒッグス粒子の効果による標準模型予言からのズレの大きさ、ズレのパターンを評価し、論文にまとめる。
|
Research Products
(12 results)