2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10149
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
飛坐 愛輝 静岡県立大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ソフォラフラバノン / フラバノン骨格 / ジヒドロベンゾフラン骨格 / C-H挿入反応 / シアノヒドリンによる分子内環化反応 |
Research Abstract |
ソフォラフラバノンHはマメ科植物Sophora moorcroftianaの根から単離されたフラバノンの一種であり、フラバノン骨格と2,3-ジヒドロベンゾフラン骨格が連結した複雑な構造を有している。これまで、多官能基化されたフラバノン骨格や2,3位両置換基がアリール基であるジヒドロベンゾフラン環について、立体選択的な構築法はほとんど報告されていない。そこで、これら骨格構築法を確立できれば、ソフォラフラバノンHなどの天然物の合成や複雑なフラボノイドにも応用できると考え、研究に取り組んだ。 まず、2,3-ジヒドロベンゾフラン骨格構築法を確立することとした。ジアリールジアゾメタン誘導体に対する不斉ロジウム触媒を用いたc-H挿入反応により高立体選択的に2,3-cis-ジヒドロベンゾフランの構築に成功した。また、TFAによる酸性条件で立体選択性を損なうことなくcis体がtrans体へ異性化が進行し、2,3-trans-ジヒドロベンゾフラン骨格構築法を確立した。フラバノン骨格はSharpless不斉ジヒドロキシル化により立体的選択的な酸素官能基の導入を行った後、光延反応を利用した炭素骨格の導入により環化前駆体へと導き、エトキシエチル基で保護したシアノヒドリンを塩基性条件下、過熱することで環化反応が進行し、フラバノン骨の構築に成功した。これまでに効率的な骨格構築法はあまり知られていなかったため本骨格構築法は複雑な天然物合成において重要であると考えている。続いて、本骨格構築法を用いてソフォラフラバノンHの合成研究に取り組むこととした。5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ安息香酸出発を原料として、保護基の導入及びフラバノン骨格の足がかりとなるビニル基の導入、その他官能基の導入を行い、ジヒドロベンゾフラン環化前駆体のジアゾ体を合成した。続いて、不斉ロジウム触媒存在下、C-H挿入反応を行うと、多官能基が存在するにもかかわらず、反応は速やかに進行し、目的のジヒドロベンゾフラン骨格の構築に成功した。今後、フラバノン骨格の構築と官能基の導入を行うことで全合成が達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)