2013 Fiscal Year Annual Research Report
流行が伝播するプロセスの解明とコミュニティにおける社会規範を変える政策への応用
Project/Area Number |
13J10499
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 遼 東京大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 流行プロセス / オンラインプラットフォーム / オープンソース / 社会規範 |
Research Abstract |
今年度は、流行に関する研究をまとめ、10月に行われた東京大学の佐々木弾先生が主催するミクロ経済政策ワークショップにて"Diffusion Process and Take-off Conditions of the Online Platform" というタイトルで口頭(英語)で発表を行った。ここで行った発表は、①オンラインプラットフォームが流行するかしないかを分ける条件(Take-off Conditions)が存在し、②その条件を満たすかどうかが流行を決める要因になる、という二点について論じたものである。 また、本研究のテーマである「流行が伝播するプロセスの解明と、コミュニティにおける社会規範を変える政策への応用」の後半部分である「コミュニティにおける社会規範」について、一つの現実の事例としてオープンソースコミュニティに着目した。より具体的には「オープンソースでの貢献度が可視化されることで、オープンソースソフトウェア開発の参加者とソフトウェアの質がともに高まっている」という仮説を検証することをテーマに研究に取り組んだ。 この仮説を立てる背景にあったのは、GitHubというオープンソースツールの登場による変化である。このサービス以前は、「誰が」「どのくらい」開発に貢献したか、という情報はあまり公開されてこなかったが、今では開発者の貢献度が可視化されるようになった。こうした背景をもとに、オープンソースにおける成功事例を研究することで、実際の政策に応用する上での重要な示唆を得られると考えている。 私は、こうした現象を説明する経済モデルを構築し、東京大学の大湾秀雄先生のアドバイスのもとワーキング・ペーパーとしてまとめた。 また、これと同時にGoogle、Facebookなどのエンジニアを含む、オープンソース開発者に50人以上インタビューを行った。このインタビューは東京とサンフランシスコで行い、サンフランシスコでは実際にGitHubの社員とも意見交換を行い、GitHub上にあるデータをもとにモデルを検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度は、次の二点の理由から、計画通りおおむね順調に進展していると考えている。①計画通り理論モデルの構築を進め、中間結果をワークショップでの発表や、ワーキングペーパーという形でまとめられたこと。②実証研究のもとになるデータの収集について、8割方完了できたこと。また、上記二点に加えて、インタビューを通じて問題意識をよりはっきりできたことで、今年度は研究の達成に大きく前進できたと自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在進めているワーキング・ペーパーをさらにブラッシュアップし、国際ジャーナルに投稿することを目標としている。また、理論モデルと並行して、データを使った実証研究も進めるため、データの収集および解析を行う予定である。前年度、ワークショップで発表した研究については、こちらも論文としてまとめ、ジャーナルに投稿するための最終確認を行っている状況で、今年度に提出できると考えている。
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Research Products
(1 results)