2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J10754
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舟山 健太 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視知覚 / パッチクランプ記録 / ガンマ波 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ガンマ波発生時における一次視覚皮質の神経細胞の活動様式を明らかとすることである。これまでのガンマ波研究の知見は、1)生理的に発生するガンマ波ではない、もしくは2)細胞種を区別していない、という難点がある。ガンマ波を正しく理解するためには、生理的にガンマ波を発生させた上で詳細に神経活動を検討する必要がある。 我々は、1msの単純なフラッシュを視覚刺激として用いることによって、マウス一次視覚皮質において生理的なガンマ波を誘導することに成功している。そこで、フラッシュ刺激の後に視覚を用いた行動タスクを行うことで、マウスの視知覚が変化するかを検証した。その結果、マウスの視知覚は情報特異的に向上することを明らかにした。次に、視知覚の変化に伴う神経活動を二光子励起レーザー顕微鏡を用いて記録した。本手法では、脳を深部まで可視化することに加え、神経細胞を生体動物で観察することが可能である。カルシウム蛍光指示薬を視覚皮質に処置することで、単一細胞レベルで神経活動を記録することに成功した。視覚刺激としては、傾きの情報をもつストライプ刺激を用いた。フラッシュ刺激を直前に提示しガンマ波を誘導すると、特定の視覚情報に対して興奮性神経細胞の応答性が増大した。これにより、特定の情報に対する神経応答が増大することで、マウスの視知覚が変化したことが示唆された。本結果は、生理的なガンマ波誘導に成功した点、さらにそれが視知覚を変化させうることを示した点で大きな意義をもつと考えられる。 この成果を計4回の国内学会、計4回の国際学会で発表し、第13回東京大学生命科学シンポジウム、次世代を担う創薬・医療薬理シンポジウム2013、第87回日本薬理学界年会において優秀発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である生体動物からのパッチクランプ記録のみならず、二光子レーザー顕微鏡を用いたカルシウムイメージング記録も取得し、ガンマ波中の神経活動の記録に成功した。さらに、視知覚を用いた行動実験の立ち上げに成功した点で、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、興奮性細胞のみならず、抑制性神経細胞の神経活動の変化に着目していく。我々は、PV陽性細胞に選択的に蛍光タンパク質(GFP)を発現する遺伝子改変マウス(PV-GFPマウス)を用い、二光子レーザー顕微鏡をによりPV陽性細胞と他の抑制性細胞を区別する。PV陽性細胞がガンマ波発生に深く寄与すると考えられているため、PV陽性細胞に着目し、フラッシュ刺激時および視知覚の変化に伴う応答様式に迫る。
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