2013 Fiscal Year Annual Research Report
標的RNA解析を通じた、がんにおけるRNA結合タンパク質IMPsの機能解析
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13J10939
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 玲菜 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DCl)
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Keywords | RNA結合タンパク質 / RNA分解 |
Research Abstract |
本研究ではRNA結合タンパク質であるIMPsによって発現制御を受けているRNA群を同定し、IMPsのがん細胞における機能解析を行うことを目的としている。 本年度は次世代シークエンサーを用いて、ゲノムワイドにIMPs結合RNA群およびIMPsノックダウン細胞において発現変動するRNA群の同定を試みた。その結果、IMPl, IMP2, IMP3と結合しかつ、ノックダウン細胞において発現量が増加したRNAは26種、10種、37種存在した。また、IMP1,2,3と結合しかつ、ノックダウン細胞において発現量が減少したRNAは14種, 42種, 110種であった。先行研究ではIMPsは標的mRNAの安定化因子として働くことが報告されていたが、網羅的な解析を行った結果、IMPsが標的mRNAの不安定化因子としても働きうることが示された。そこで私は、新たな知見の発見につながると考え、発現抑制された標的RNA群が特に多かったIMP3に着目して更なる解析を行うことにした。IMP3によって発現抑制されているRNA群のうち、発現変動が大きかった上位15種のRNAが直接IMP3と結合しているか否かをCLIPにより検証したところEIF4EBP2とMEIS3がIMP3と直接結合していることが見出された。これら2種についてIMP3ノックダウン細胞におけるRNA分解の測定を行ったところIMP3ノックダウン細胞でRNAの安定化が見られた。また、共免疫沈降法によりIMP3とRNA分解因子であるRRP4, XRN2の間に物理的な相互作用が見られた。IMP3標的RNAであるEIF4EBP2が細胞増殖抑制因子であることから、細胞増殖における影響を調べた結果、IMP3ノックダウンで見られた細胞増殖の抑制はEIF4EBP2のノックダウンにより一部レスキューされた。以上の結果より、IMP3がRNA分解を促進する因子であることが示唆された。IMP3が分解促進因子としての機能を持つことは本研究で初めて見出されたことである。また、本研究よりIMP3は標的RNAであるEIF4EBP2mRNAの分解促進を介して細胞増殖の一部を制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度でIMPによって制御を受けているRNA群を同定する系を立ち上げること、制御の対象のRNA群を同定することを目標としていたが、それを達成できただけではなく、IMPsの中の1つであるIMP3の機能の一部を明らかにすることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はIMPsによる標的RNA群の発現制御とがんの関係を調べるために、ヒトの肺腺がん組織におけるIMPsとIMPs標的RNAの発現量の関係を解析していく予定である。また、昨年度の研究によりIMPsが標的RNAの安定化だけではなく不安定化にも寄与することが示されたので、どのようなメカニズムで一つのタンパク質が異なる機能を果たすのかについても探求していく。
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Research Products
(3 results)