2013 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化予防において食事全体の抗酸化物質が果たす役割の検討
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13J10977
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
杉原 規恵 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 抗酸化物質 / 食生活 / ヒト試験 |
Research Abstract |
動脈硬化の危険因子として、血管炎症やLDL酸化の関与が重要視されている。申請者はこれまでに、動脈硬化の危険因子としてLDL酸化と血管炎症に着目し、ポリフェノールが豊富に含まれる食品やビタミンC、Eによる改善作用について培養細胞を中心に研究を行ってきた。そこで本年度は、日本人において主要なポリフェノール摂取源である緑茶に豊富に含まれるカテキンを用いて健常成人男性を対象に臨床試験を行った。ヒト試験ではLDL被酸化能ならびに血管内皮機能、抗酸化酵素発現に関する検討を行った。カテキンの摂取により、健常成人において摂取1時間後に血中の濃度は最大値を示し、LDL被酸化能の改善や血中の抗酸化能の上昇が認められた。また、培養血管内皮細胞においてカテキン添加でeNOSの活性化等、血管内皮機能改善効果が示唆されたがヒト摂取試験における血流依存性血管拡張反応(FMD)測定においては、緑茶カテキン摂取による有意な変動は認められなかった。食による生活習慣病の予防について、ヒトでの有効性を実証した報告は少なく、今回得られたヒト試験の研究成果は極めて貴重である。 また、実際の食生活では複数の食品を同時に摂取するため、食生活に抗酸化物質を取り入れる必要性や有効性を明らかにするには単一成分での検討に加え、各種成分の種類の違いによる作用機序の検討が重要である。そこで、抗酸化物質の種類の違いによる効果の比較としてLDL被酸化能測定(lag time測定)にて、4種のカテキンによる効果の違いを検討した。血漿にカテキンを添加しインキュベーションしたのちにLDLを分取しlagtimeを測定した。その結果、種類によるLDL被酸化能の違いが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトを対象とした単回摂取での臨床試験を実施することができた。その結果から本研究の目的達成に向けての課題を抽出し、今後の検討項目をより明確に設定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の食事では数種類の抗酸化物質を同時に摂取しているため、今後は構造の違いによる効果を比較検討する。今年度実施したLDL酸化に対する影響に加え、DNAマイクロアレイを用いてそれぞれのカテキンが血管内皮細胞に及ぼす影響を網羅的に解析する。カテキンが血管内皮機能ならびにLDL酸化抑制作用に及ぼす影響について、種類による効果の違いや、作用機序が明らかとなり、複数の食品を同時に摂取した場合や、長期試験などの臨床試験の実施につながる有用な成果が得られるものと期待される。
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Research Products
(7 results)