2014 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化予防において食事全体の抗酸化物質が果たす役割の検討
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13J10977
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
杉原 規恵 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリフェノール / 抗酸化物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
食生活に抗酸化物質を取り入れる必要性や有効性を裏付けるためには、実際の食生活では複数の種類の抗酸化物質を同時に摂取しているということを考慮する必要がある。これまでに様々な食品によるLDL被酸化能や血管内皮機能改善作用について報告してきたが、種類の違いによる効果の比較などの報告は少ない。そこで、申請者は、数種類のポリフェノールの種類による効果の違いや、その作用機序を明らかにすることを目的とした検討を行った。 1.緑茶カテキンによる血管内皮細胞における遺伝子発現変動の網羅的解析 4種のカテキンをヒト臍帯静脈内比細胞 (HUVEC)に作用させた際のmRNAの発現変動についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。変動した遺伝子についてパスウェイ解析を行った結果、血管新生に関与する幾つかのCanonical Pathwayとの関連性が示された。 2.ポリフェノールによるLDL被酸化能改善作用の検討 1年目の検討で、ガレート型カテキンを豊富に含む緑茶抽出物の摂取がLDLに対して抗酸化力を発揮する事が明らかになっている。昨年度は4種類のカテキンの血漿中での安定性を測定し、ガレート型カテキンは血漿中における安定性が高いことが示された。さらにヒトが緑茶抽出物を摂取した際のLDLに分布するカテキンの濃度測定を行った所、摂取後に顕著にLDL分画中のカテキン濃度は増加している事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画とは違う手法ではあるが、ポリフェノールの生体内での働きについて新たな見解を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では最終年度に抗酸化力を強化した食事に関してヒト負荷試験を行う予定であったが、数種類のポリフェノールの比較試験を実施した結果から、抗酸化物質の機能性の発揮には、安定性や作用機序など、抗酸化力に依存しない効果の違いが示唆された。長期摂取試験実施の際の重要な情報であり、これらの作用機序についてより詳細に検討することを優先事項とする。
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Research Products
(5 results)