2014 Fiscal Year Annual Research Report
選択的ミトコンドリア分解を司るタンパク質複合体の解析
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13J40092
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 徳子 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 出芽酵母 / 膜ダイナミクス / 品質管理 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
マイトファジー誘導条件下、マイトファジーに必須なタンパク質Atg32の精製用tag付きコンストラクトをAtg32欠損株において発現し、これを精製することで、タンパク質複合体の構成因子候補としていくつかの因子を同定した(前年度報告)。これら因子の中には鉄代謝において重要な働きをしているミトコンドリア局在のABCトランスポーター等もふくまれ、実際の相互作用も見られたことから、この因子群の詳細解析から機序の理解を深めることが期待される。
また一方で、マイトファジー誘導の際に、これまで判明している相互作用因子、オートファジーの必須因子Atg8の発現プロファイルをコントロールとして確認するうちに興味深い現象を見いだした。ウェスタンブロット上の高分子領域に、Atg8抗体にて検出されるラダー状のシグナルである。これらは、オートファジーにもマイトファジーにも依存しないが、オートファジーの必須因子群の欠損においては、それらのパターンの消失がみられる。Atg8はリン脂質に共有結合するユニークなユビキチン様タンパク質として知られているが、それ以外の修飾様式については謎のベールに包まれたままである。そこで、従来の知識を超えたAtg8の結合様式を検証し、結合タンパク質を網羅的に同定するべく、この高分子領域バンドの質量分析を行った。長らくの間、Atg8の結合基質は、フォファチジルエタノールアミンだけが知られていたが、今回の質量分析の解析で、Atg8がAtg3と共有結合している可能性が示唆された。またその他の基質候補も見つけ出すことができ、現在これらの結合部位の解析を進めているところである。今後の解析は非常に重要な知見をもたらすと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的とした、選択的ミトコンドリア分解を司るタンパク質の複合体の解析では前年度報告にも記したように、複合体精製を経て、複合体の構成因子候補としていくつかの因子を同定できたことで、目的の半分以上は達成されている。また、これらの因子の解析において、In vivoでも鍵因子のAtg32自身との相互作用自体も生化学的に確認できている。一方で、これらの因子の欠損株には表現型がはっきりしないこと、発現量を調節してやっても、マイトファジー自体には影響を及ぼさないことなど、どういった機能のために複合体として存在しているかは未だ謎のままである。 平成26年度の研究成果において特質すべき点は以下である。Atg8の高分子量化の解明を中心に研究を推進し、化学的スクリーニングを通して、観察される現象に関わる候補因子を複数種、同定した。その中で、これまでAtg8の唯一結合基質として知られていたPE以外にもAtg3や、機能未知のいくつかの新規タンパク質が、Atg8と共有結合していることも明らかとなった。以上をふまえ、当初の研究計画以上に新規の知見を得る事ができ、順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマイトファジー誘導条件で観察される、Atg8の高分子量化の解明に焦点を絞り、解析を進めて行く予定である。 判明している基質をもとに、結合サイトの絞り込み、Atg8高分子量化のメカニズム詳細に迫るとともに、生理学的意義の追求などを一つ一つ明らかにしてゆきたいと思っている。 具体的な方法としては、鍵となる結合サイトを同定するべく、基質の変異体を用いてAtg8 との相互作用を検討(IP実験)を行う。また、Atg8の高分子量化の変異群を用いて共通するdefect(表現型)を見つけ出し、アッセイ系の構築を試みる。
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Research Products
(3 results)