2002 Fiscal Year Annual Research Report
運動認知メカニズムにおける時間・空間制約に関する研究
Project/Area Number |
14017035
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70293248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 一吉 早稲田大学, 文学部, 教授 (00156762)
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Keywords | 運動規範 / 滑らかさ / 分散最小化 / 運動指令依存ノイズ |
Research Abstract |
矢状面における運動時間を変化させた到達運動の詳細な定量的解析より,健常者は,運動時問が短くなることにより失われる滑らかさを,手先の通過する高さを低くすることで補償している可能性があることが,滑らかさの運動規範に基づいて示されている(Wada, Aiba, Fukuzawa 2001).しかしながら,健常者と同様の運動傾向を示さない失書患者の傾向,つまり,運動時間が長いときに手先高さがほぼ一定になることなどは,上述の説明では十分ではなかった.我々は,これらを説明するために運動指令依存ノイズに基づいた終点誤差分散最小規範を検討した.第1に,運動指令依存ノイズの大きさと,手先通過高さを変化させた数値実験を行い,手先の通過する高さが同じ場合には,依存ノイズが大きいと終端誤差が大きく,依存ノイズの大きさが同程度のときは,手先の通過高さが高いほど終端誤差が小さくなることを確認した.次に,健常者に対する被験者実験において,模擬的に被験者の運動指令依存ノイズを増加させる実験環境によって,ノイズが大きい場合の運動実験を行い,手先の通過する高さが,ノイズを加えたら高くなり,終端誤差は手先の通過する高さが高くなるほど小さくなることを確認した.従って,患者のノイズが健常者よりも大きいと仮定すれば,運動時間が短いとき,患者の手先高さが低くならなかったのは,ノイズの大きさに起因する終端誤差の増加を,手先の通過する高さを高くすることで補償する患者の方策であった可能性が示唆される.また,この結果は,ヒトの運動計画には,滑らかさに関する規範とともに誤差分散最小化の規範があることを示唆しているものと考えられる.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Tsunoda, A.Matsui, Y.Wada, T.Aiba, C.Nagai, Y.Uchiyama, M.Iwata, S.Tanaka, M.Kozawa, M.Kamiyama, K.Fukuzawa: "A computational approach to arm movement on the sagittal plane performed by parietal lobe damaged patients : An attempt to examine a computational model for handwriting for its neurobiological plausibility from a neuropsychological symptom"Neurocomputing. (in print). (2003)
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[Publications] 宇賀田正臣, 黒田朋枝, 今水寛, 吉岡利福, 和田安弘, 川人光男: "効果器間協調における順モデル使用の可能性---ヒトの把持力負荷力結合モデルの仮説の検討---"電子情報通信学会論文誌DII. (in print). (2003)
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[Publications] 川端康宏, 大須理英子, 和田安弘, 川人光男: "速度依存力場と位置依存力場に対する内部モデルの独立性--多重内部モデルの検証--"電子情報通信学会論文誌DII. (in print). (2003)
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[Publications] Y.Wada, H.Kasuga, K.Sumita: "An evolutionary approach for the generation of diversiform characters using a handwriting model"ICPR2002. 131-134 (2002)
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[Publications] 松井章, 津野田聡子, 和田安弘, 福澤一吉: "頭頂葉損傷患者の矢状面運動に関する計算論的考察"第17回生体・生理工学シンポジウム. 233-234 (2002)