2004 Fiscal Year Annual Research Report
SHIV-サルの系を用いたエイズウイルスの粘膜感染機序と粘膜防御機構の解析
Project/Area Number |
14021046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 栄治 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70183176)
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Keywords | HIV / サル免疫不全ウイルス / サル / 粘膜免疫 / 粘膜感染 / ウイルス体内分布 |
Research Abstract |
目的:HIVの粘膜感染機序と粘膜防御機構の解明の為に、envを含む3半分のHIV-1遺伝子をもつSHIVの経粘膜感染ザルを用いて、特に感染初期のウイルス増殖機序と免疫誘導機構の解析を個体レベルで実験的に明らかにすることを目的としている。 今年度の研究:昨年度(平成15年度)はSHIV強毒株のアカゲザルへの経直腸感染実験を行ったが、今年度(平成16年度)は同じ親株由来の弱毒クローンについて同様の感染実験を行い、その感染初期におけるウイルス拡散と各種臓器における増殖及びその免疫細胞群へ与える影響を経時的に解析した。これらの弱毒株による成績を強毒株と比較検討した。 今年度の成果:経直腸感染による全身へのウイルス拡散は、強毒株の場合、感染3日後には既に胸腺に達していたが、弱毒株の場合、それよりも遅れて拡散し、ウイルスの主要な増殖部位は感染局所である腸管から、腸間膜リンパ節、胸線へと段階的に移行することが示された。また強毒株の揚合、胸線を含む各リンパ系臓器において,盛んな感染性ウイルスの増殖後、感染性ウイルスが産生されずプロウイルスのみが検出される潜伏期に入るが、腸管では始めからプロウイルスとしてとどまっており、感染性ウイルスは終始、検出されなかった。一方、弱毒株では腸管においても感染性ウイルスの産生がみられた。さらに強毒株では各臓器で著しいCD4+細胞の減少が見られたが、弱毒株では小腸のみにみられた。 これらのことから強毒・弱毒性の相違は腸管での増殖性にあると推察された。すなわち弱毒株は腸管で増殖し、その局所のCD4+細胞を減少させるが、強毒株は腸管において増殖せず、胸線その他のリンパ節でよく増殖し、そこのCD4+細胞を滅少させた。
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Research Products
(7 results)