2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14023245
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
石崎 武志 独立行政法人文化財研究所, 東京文化財研究所・保存科学部・物理研究室, 室長 (80212877)
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Keywords | 漆喰 / 江戸時代 / 材料 / 技法 / 粒度分布 / 間隙構造 / 施工性 |
Research Abstract |
本年度の研究は、江戸時代に建てられた、城郭、土蔵、社寺仏閣における漆喰材料、作成方法に関する、現地調査、資料収集、可能な場所では、漆喰材料の採取と分析を行った。現地調査では、川越市の山倉、栃木市の倉、九州八女市の倉などである。資料収集としては、福岡県で漆喰材料の作成を行っている田川産業を訪問し、漆喰の作成方法について調査をした。その際に、全国の漆喰材料、技法の調査を行っている藤田洋三氏から、漆喰材料作成技法に関する情報を得ることができた。 現地で採取した漆喰材料は、水銀ポロシメータによる空隙分布の測定、レーザー粒度分布測定装置による粒度の測定、サイクロメータ水分特性測定装置による水分特性の測定、表面の電子顕微鏡写真の撮影などを行い、物理的特性を求めた。過去の漆喰材料との物理的特性の比較を行うために、古墳内から得られた漆喰片に関しても同様の測定を行った。 測定結果から、漆喰の空隙構造は、江戸時代以降のものが、空隙径数ミクロンの所に一つのピークが得られるのに比べて、古墳から得られたものは、より広い空隙径の分布を持つことが分かった。これが、当初の構造の違いによるものか、風化による構造変化によるものかについては今後の課題である。 また、漆喰の施工性に関しては、貝灰など粒度分布の広いものの方が、粒度のそろったものより施工性が良いことが、左官職人の聞き取りや粒度分布の測定等から分かった。この点に関しては、その物理的な意味を今後とも調べていく予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ishizaki, T., Grunewald, J., Plagge R., Fechner, H.: "Experimental study of water redistribution measurement in the model earthen wall and its numerical analysis"Proc. of 11th International Symp. on Building Physics. 1. 576-584 (2002)