2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14035104
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
水本 清久 北里大学, 名誉教授, 副学長 (80092344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 利文 名古屋大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40242812)
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Keywords | キャッピング / RNAポリメラーゼII / RNA依存RNAポリメラーゼ / センダイウイルス / インフルエンザウイルス / mRNA品質管理 / ノンストップmRNA / ポリ(A)鎖 |
Research Abstract |
[研究A]キャップ構造形成の酵素機構とmRNA合成初期反応との関係(水本担当):mRNAキャッピングと転写初期過程との関係を、1)細胞RNAポリメラーゼII(pol II)転写系ならびに2)ウイルスRNA依存RNAポリメラーゼ(RdRP)転写系について解析した。その結果、1)polII転写開始反応に依存してpol II CTDがリン酸化され、これにまずmRNA guanylyltransferaseが結合し、続いてこの酵素にmRNA(guanine-7-)methyltransferaseが結合することによりメチル化キャップが形成されることを明らかにした。また、キャップ形成はRNA鎖が18-19nt伸長した時点で起こることを種々のプロモーターを用いた転写系で明らかにした。2)センダイウイルスRdRPにmRNA(guanine-7-)methyltransferase酵素活性のあることを初めて生化学的に証明した。インフルエンザウイルスRdRPの持つキャップ依存エンドヌクレアーゼ活性のキャップ構造特異性について解析し、A型とB型ウイルスでキャップ構造メチル基の認識能が異なることを見出した。また、インフルエンザウイルスRdRPと相互作用する複数の宿主タンパク質を検出・同定した。 [研究B]mRNAの品質管理機構(稲田担当):終止コドンを含まないmRNA(ノンストップmRNA)由来の遺伝子産物の発現抑制機構を解析した。その結果、正常なmRNAでは翻訳されないポリ(A)鎖が翻訳されることで、ポリ(A)鎖の翻訳産物であるポリリジンによる翻訳アレストと、それに共役したプロテアソームによる異常タンパク質分解という発現抑制機構が働くことが明らかになった。(Ito-Harashima et al., 2007)。この結果は、ポリ(A)鎖の翻訳自体が、多段階での発現抑制機構を作動させ、品質管理機構において必須な役割を果たすことを初めて明確に示したものであり、真核生物mRNAポリ(A)鎖の新しい役割が明らかになった。またNMD(nonsense-mediated mRNA decay)による異常タンパク質分解機構も見いだしており、解析を進めている。
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Research Products
(4 results)