2002 Fiscal Year Annual Research Report
膜分離活性汚泥法および新素材利用ナノろ過法による内分泌撹乱物質の制御
Project/Area Number |
14042212
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
浦瀬 太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60272366)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / エストラジオール / ビスフェノールA / 膜分離活性汚泥法 / ナノろ過 / 動力学モデル |
Research Abstract |
本研究は,ナノろ過による内分泌かく乱物質の直接的な分離の研究と膜分離活性汚泥法による生物化学的な処理に膜分離を組み合わせる方法の二つの部分に大きくわかれる. 膜分離活性汚泥法については,汚泥への吸着平衡,汚泥と水相間の移動速度,汚泥中での分解速度の3つのパラメーターで化学物質の分解を記述する二相動力学モデルを構築し,汚泥採集時,汚泥の馴致時,膜分離活性汚泥法運転時に分けて,パラメーターの値の変化を観察した.実験対象は,17βエストラジール(E2),エストロン(E1),エチニルエストラジール(EE2),ビスフェノールA(BPA)の4種類の溶質である。採取時の汚泥と比較して,実験室で人工下水によって汚泥を馴致すると,もともと難分解性のEE2がさらに分解されにくくなること,E2が比較的易分解性であること,汚泥への吸着平衡パラメーターがlogKowの大小によって決定されること,E2のうち70%程度がE1経由で分解されることなどが明らかになった.さらに,標準活性汚泥法,膜分離活性汚泥法,純酸素ばっ気活性汚泥法の代表的な処理条件を入力し,得られたパラメーターで処理水水質を計算した.今回の対象溶質は,水への溶解度がある程度高いことから,膜分離法で汚泥を完全に阻止することや膜面での生物膜効果による除去は顕著ではなく,汚泥濃度によって処理水水質がほとんど決定されることが明らかとなった. 一方,ナノろ過については,環境ホルモンを含む約20の半揮発性溶質の阻止性能と約20の揮発性物質についての10種類の膜による阻止性能を検討し,データーの蓄積を行った.阻止率を記述するパラメーターとしての分子量に変わる分子幅の有効性を幅広く確認した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 菊田友弥, 浦瀬太郎: "活性汚泥法による内分泌かく乱物質除去に関する固液二相数値シミュレーション"環境工学論文集. 39. 87-96 (2002)
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[Publications] 浦瀬太郎, 山本和夫: "吸引式低圧逆浸透法の物質輸送特性とそのモデルによる解析"土木学会論文集. 706/VII-23. 31-39 (2002)
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[Publications] K.O.Agenson, J.I.Oh, T.Kikuta, T.Urase: "Rejection Mechanisms of Plastic Additives and Natural Hormones in Drinking Water Treatment by Nanofiltration"Proc. of 5th International conference on Membranes in drinking and industrial water production, Mulheim. 323-332 (2002)