2002 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体のアポ/ホロ構造の差構造解析による化学物質の受容体結合リスク評価法
Project/Area Number |
14042250
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野瀬 健 九州大学, 理学研究院, 助手 (10301334)
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Keywords | 内分泌撹乱化学物質 / 環境ホルモン / レセプター / エストロゲン受容体 / 分子モデリング |
Research Abstract |
内分泌撹乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)の生態系動物への影響は、様々な化学物質がホルモン受容体と結合し、疑似(ニセ)の作用を引き起こすことに起因する。この受容体結合メカニズムを解明することは、化学物質の受容体結合性を判別する基礎的なデータとなる点で重要である。しかしながら、現時点ではリガンドが結合していないレセプター(アポ体)の立体構造はRXRレセプターただ一つのみが知られているに過ぎず、様々な化学物質の受容体結合特性を評価するのが困難な状況である。そこで本研究では、(1)分子モデリングの手法を用いてエストロゲン受容体のアポ体タンパク質のリガンド結合部位(LBD)の立体構造を解析・構築し、リガンド結合部位の構造を決定し、(2)そのリガンド結合部位構造をテンプレートとして種々の化学物質の結合性の予測を行なうことを目的に、以下を実施した。 分子モデリングで作製したエストロゲン受容体LBDにおいて、ヘリックスH12の構造的に安定な存在部位は、アゴニスト結合型とアンタゴニスト結合型のH12の位置に対してちょうど中間的な位置に存在することが判明した。これは、H12がアゴニスト結合型、もしくはアンタゴニスト結合型の位置に変化しうることを示しているが、リガンドの受容体への結合によってH12の位置が変化するためには好都合の位置取りと判断された。しかしながら、この状態を保証する分子構造的な構造要因は不明である。 一方、リガンドの結合構造解析において、E2 (17βエストラジオール)の結合部位はアポ体とホロ体で大きな違いはないことが判明した。微細構造解析では、アポ体におけるE2とそのD環近傍に存在する受容体アミノ酸側鎖の間には空きスペースがあり、この方向からのリガンドのLBDへの進入が予想された。また、アポ体へのドッキングシュミレーションで大きな分子、小さな分子を含めて合計20種類の化学物質の結合構造を解析したところ、ほとんどの化学物質が結合可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Daisuke Asai, et al.: "Biochemical Evaluation of Hormonal Activity of Endocrine Disruptors by Sensing the Estrogen Receptor Conformation Changes"Peptide Science 2002. (印刷中). (2003)
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[Publications] Hideki Ishimori, et al.: "The Effect of the Peptide Corresponding to the No.12 α-Helix on the conformation Change in the Estrogen Receptor Activation"Peptide Science 2002. (印刷中). (2003)