2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属―炭素多重結合の反応制御に基づく環状有機金属化合物の創製と応用
Project/Area Number |
14044049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90213636)
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Keywords | π-アルキン錯体 / 5-エキソ環化 / 2-フリルカルベン錯体 / 遷移金属錯体触媒 / シクロプロパン化 / 2-ピロリルカルベン錯体 / カルベン挿入反応 / ピロール |
Research Abstract |
■2-フリルおよび2-ピロリルカルべン錯体の関与する触媒的シクロプロパン化反応の開発 (Z)-β-エチニル-α,β-不飽和カルボニル化合物と6族遷移金属錯体との反応において、エステルおよびアミド化合物からは,ビニリデン錯体中間体の分子内環化反応を駆動力としてα-ピラニリデン錯体が,またケトンからはπ-アルキン錯体の5-エキソ環化により,2-フリルカルベン錯体がそれぞれ生成することを既に報告している。 本研究では,これらの知見を基に新たな触媒反応の開発を行った。すなわち,(Z)-β-エチニル-α,β-不飽和カルボニル化合物を種々の遷移金属錯体触媒存在下,アルケン類と反応させると先に述べた5-エキソ環化により生じる2-フリルカルベン錯体が鍵中間体となり,アルケンのシクロプロパン化が室温で効率良く進行することを見出した。本反応には6〜10族の広範囲の遷移金属錯体が触媒活性を示した。また,本反応はいずれの触媒を用いた場合にも電子豊富なアルケン類が効率良くシクロプロパン化されることから,鍵中間体の2-フリルカルベン錯体は求電子的な性質を有することが明らかとなった。さらに,[Rh(OAc)_2]_2触媒存在下(Z)-β-エチニル-α,β-不飽和イミン化合物とアルケン類との反応を検討した結果,2-フリルカルベン錯体と類似の反応様式により2-ピロリルカルベン錯体が発生し2-ピロリルシクロプロパンが効率良く得られることも見出した。2-ピロリルカルベン錯体を中間体とする反応においては,N上に反応性置換基を導入することによって,C-H結合へのカルベン挿入反応が起こり多環式ピロールが得られることも合わせて見出した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Miki, F.Nishino, K.Ohe, S.Uemura: "Novel Approach for Catalytic Cyclopropanation of Alkenes via (2-Furyl)-carbene Complexes from 1-Benzoyl-cis-1-buten-3-yne"Journal of the American Chemical Society. 124・19. 5260-5261 (2002)