2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14044057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒沢 英夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40029343)
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Keywords | 有機パラジウム / ポリパラダサイクル / クラスター錯体 |
Research Abstract |
本研究では、Pd-Pd結合が環骨格内に含まれる有機パラジウム錯体を合成し、それらの新規反応パターンを見出して、将来の画期的分子変換法を開発するための手がかりを得ることを目的とする。本年度はブタジエンとPd-Pd結合が組み合わさった6員環ジパラダサイクル化合物の合成と反応、ならびにテトラエンとPd-Pd-Pd骨格が組み合わさった11員環トリパラダサイクル化合物の合成と構造決定を行った。 まず6員環ジパラダサイクル化合物として、ヒドロキシ基がPd-Pd結合に架橋配位する化合物をビスブタジエンーPd_2サンドイッチ錯体と苛性ソーダとの反応で得ることができた。6員環構造をX線構造解析で確認した。このときヒドロキシ基の水素原子は、結晶に取り込まれたテドラヒドロフランと強い水素結合で結ばれていることを見いだした。この錯体の架橋ヒドロキシ基は、メタノール、フェノール、アニリン、ベンゼンチオールなどの活性プロトンを持つ基質と容易に反応し、対応するメトキシ、フェノキシ、アニリド、チオラート架橋を有する6員環ジパラダサイクル化合物を与えた。温度変化NMRスペクトルを利用して、これらの架橋基のうちアニリド、チオラート基が比較的剛直な構造を持つことが判明した。 つぎに11員環のトリパラダサイクル化合物については、フェニル基とp-t-ブチルフェニル基を両端に持つテトラエンと3原子のPdを溶液中で自己集合的な手法で合成した。この場合、テトラエン2分子が配位に関与してサンドイッチ構造をとることを、X線構造解析で確認した。これら2種類の錯体どうしでテトラエンを交換する反応を加熱条件下で検討したが、自由配位子がないとほとんど交換が起こらないこと、可視光を照射すると交換が著しく加速されることなどを見いだした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.A.Jalil, T.Nagai, T.Murahashi, H.Kurosawa: "Synthesis and Reactivity of a Palladium(I)-Palladium(I)-Bonded m-Hydroxo Complex Supported by a Bridging Butadiene Ligand"Organometallics. 21. 3317-3322 (2002)
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[Publications] T.Murahashi, Y.Higuchi, T.Kato, H.Kurosawa: "Photo-induced Face-Inversion of Conjugated Tetraene Ligands on a Pd-Pd-Pd Moiety"J.Am.Chem.Soc.. 124. 14288-14289 (2002)