2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規なN,P-型キレート金属錯体を用いた無保護グルカール類の立体選択的変換反応
Project/Area Number |
14044060
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 昌彦 神戸大学, 理学部, 教授 (60192704)
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Keywords | 無保護グルカール / グリコシル化反応 / パラジウム触媒 / 酸化的芳香族化 / ヘテロ環合成 |
Research Abstract |
無保護グルカールのアリルアルコールを選択的に酸化して得られるエノン体(ウロース)をグリコシル供与体に用い、触媒量のパラジウム触媒存在下、シアン化トリメチルシリルを作用させると、立体選択的1,4-付加が進行し、対応する3-ケト-1-シアノ糖が高収率かつ高いα選択性でもって得られた。本反応でパラジウム触媒として2価のパラジウムの他、0(ゼロ)価のパラジウムを用いることもできる。グルカールのグリコシル化では、2価のパラジウムのみが触媒活性をもつことと対照的である。そこで、酢酸パラジウムにポスフィン配位子を添加することで、α/β=94/6まで向上させることができた。さらに、本反応で用いたエノン体合成の際に見い出した、Pd/C触媒を用いる酸化反応をピラゾリンからピラゾールへの芳香族化に適用できることを見い出した。その後、これらのピラゾリンは、酸化剤であるPd/Cを一切用いなくとも、活性炭だけで酢酸あるいはキシレン中,加熱するのみで,対応するビラゾールへと変換されることがわかった。本反応では酸素が必須である。活性炭が効率的に酸素を吸着し,反応を促進していると考えられる。この反応はパラジウム触媒-エチレン系と異なり,水素移動型(脱水素)の反応ではなく,酸素の取込みの後,水が抜ける脱水型の反応である。 活性炭-酸素系はジヒドロピリジンからピリジンへの変換,アリールベンズオキサゾール,アリールイミダゾール類の合成(Org.Lett.,5,3713(2003)),アントラセン類の合成(J.Org.Chem.,68,8272 (2003))においても良好な結果を与えた。これらの変換は従来,過マンガン酸や硝酸あるいはDDQを用いて酸化していたが、本法により環境調和型の酸化が実現できた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Hayashi: "Stereoselective C-Glycosidation of Unprotected D-Glycals with Trimethylsilyl Cyanide"Chiratify. 15. 10-16 (2003)
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[Publications] Y.Kawashita: "Direct and Practical Synthesis of 2-Arylbenzoxazoles Promoted by Activated Carbon"Org.Lett.. 5. 3713-3715 (2003)
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[Publications] N.Nakamichi: "Oxidative Aromatization of 1,3,5-Trisubstituted Pyrazolines and Hantzsch 1,4-Dihydropyridines by Pd/C in Acetic Acid"J.Org.Chem.. 68. 8272-8273 (2003)
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[Publications] W.J.Drury: "Synthesis of Versatile Chiral N, P Ligands Derived from Pyridine and Quinoline"Angew.Chem.Int.Ed.. 43. 70-74 (2004)
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[Publications] 林 昌彦: "第5版 実験化学講座 有機化合物の合成VII"丸善株式会社. 36 (2004)