2002 Fiscal Year Annual Research Report
官能化アルデヒド誘導体からの反応活性種の創製と選択的複素環合成反応への展開
Project/Area Number |
14044073
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野口 三千彦 山口大学, 工学部, 教授 (10108772)
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Keywords | 官能化アルデヒド / 水素移動 / N-無置換 1,3-双極子 / 共役アゾメチンイリド / キノンジメチド誘導体 / 環化付加反応 / 複素環化合物 |
Research Abstract |
官能化アルデヒドから得られるイミン誘導体の熱反応で生成する反応活性種の複素環合成試剤としての有用性を検討することを目的としてきた。 水素移動によるN-無置換1,3-双極子の発生と分子間環化付加反応:水素の1,2-移動により中間に発生するN-無置換1,3-双極子を分子内水素結合形成により安定化させ、平衡を幾分かでも双極子側に偏らせようとする試みとして、ピバロイルアルデヒドの一つのメチル基を官能化したアルドイミン誘導体の熱反応を検討した。残念ながらこれらのアルデヒド及びそのイミン誘導体は比較的不安定で異性化による1,3-双極子生成よりも基質の分解が優先して起こることがわかった。 一方、複素環アルデヒドからのイミン誘導体の反応では対応する1,3-双極子(アゾメチンイミン及びアゾメチンイリド)が比較的穏和な条件下に発生でき親双極子成分との分子間環化付加体を高収率で与えた。しかし、ニトロンはマレイミドしか反応せず、分子間環化付加の応用範囲は狭いものであった。またと活性アセチレンとの反応はオキシム水酸基がアセチレン部にマイケルタイプの付加を行うことにより始まる別の反応が進行した。アゾメチンイミン環化付加体を酸処理すると逆マイケル型の開裂反応が起き複素環部が脱離した生成物を与えた。これはC-無置換のニトリルイミンと親双極子との環化付加体に対応している。C-無置換のニトリルイミンの合成反応への利用例は少なく、また開裂反応の一般性もあることからヒドラゾンからのアゾメチンイミン環化付加体生成とその酸による開裂プロセスはC-無置換のニトリルイミン環化付加反応と「等価」であるといえる。他のニトロン及びアゾメチンイミン環化付加体についても酸処理を検討する予定である。 1,6-水素移動によって生成するα,β-不飽和アゾメチンイリドの環化:隣接位にアミン部を有する複素環アルデヒドN-フェニルイミンの環化反応は立体選択的に進行し鎖状アミノ酸由来の基質からは2,3-位がZ-配置の生成物のみが得られ、環状アミノ酸由来の基質ではE-配置の生成物が主生成物として得られた。反応条件下での生成物間の異性化はないことからアゾメチンイリドのからの環化の段階が選択性に影響していることがわかる。分子軌道法計算などを用いて遷移状態の安定性について検討した。
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