2002 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価結合を持つ新規な第15族重元素複素環の合成とその有機合成試薬としての活用
Project/Area Number |
14044104
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
栗田 城治 北陸大学, 薬学部, 教授 (80100494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角澤 直紀 北陸大学, 薬学部, 助手 (20185721)
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Keywords | 有機合成化学 / 遷移金属触媒 / アンチモン / 複素環 / 渡環相互作用 / 超原子化結合 / クロスカップリング反応 / 還元反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超原子価結合を持つ有機アンチモン化合物の一般合成法の開発とこの超原子価結合の持つ特性を利用した新規有機合成反応の開発にある。以下、平成14年度の成果を概説する。 1.エチニルアンチモン類(1:Ar_2Sb-≡-R^1)にPd触媒のもとで加熱下に酸ハロゲン化物(R^2COCl)を作用させると、カップリング成績体(3:R^2CO-≡-R^1)を与える。最近、この反応をdibenzo-[c, f]-1-methyl-5-ethynyl-1,5-azastibocine類(2a)で行うと、緩和な条件で3が高収率で得られることを見出した。その後、N上の置換基をMe基からi-Pr基およびt-Bu基に代えると、置換基の嵩高さが増すにしたがって反応性が増大すること、1とヨウ化アリールとの反応ではほとんど認められなかったカップリング反応が2aを用いると容易に進行してAr-≡-R^1(4)を与えること、ヨウ化アリールよりも反応性の劣る臭化アリールでも同様の反応が進行することなども判明した。この結果は、スチボシン環を形成することによってエチニル基の反応性が著しく向上したことを意味する。2aのX線結晶解析から、Sb-N間に強い相互作用が存在するとともに、Nのトランス位にあるエチニル基炭素とSbとの結合が通常の値よりも伸長していることが分かった。この知見から、本カップリング反応の起こり易さは、Sb-N間の相互作用の強さやN---Sb-C(sp)のなす結合角に密接に関係しているものと考えられた。2aの場合、8員環を形成することによって効果的な両ヘテロ原子の接近が起こるばかりでなく、電子豊富なアミン官能基を持つので、両元素間に強い超原子価結合を生じたと考えている。 2.超原子価結合が化合物の性質に与える影響をさらに調べる目的で、2aのSb上にエチニル基の代わりにアルキル基を持つ化合物(2b)を合成し、その反応性を種々検索した。その結果、芳香族ニトロ化合物を2bで処理すると、アゾキシ化合物(Ar-N(O)=N-Ar)が生ずることを新たに見出した。これは、Sb-N間の渡環相互作用によりSb原子が電子過剰となり、その結果、2bが緩和な還元剤として機能したものと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Okajima, S., Yasuike, S., Kakusawa, N., Osada, A., Yamaguchi, K., Seki, H., Kurita, J.: "Synthesis of Sb-chiral organoantimony compounds having intramolecular Sb---N interaction and their separation into optically pure compounds via ortho-palladated benzylamine complexes"J.Organomet.Chem.. 656. 234-242 (2002)
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[Publications] Yasuike, S., Okajima, S., Kurita, J.: "Synthesis of optically active organoantimony compounds having an (S)-α-methylbenzyldimethylamine group and its evaluation for asymmetric reaction"Chem. Pharm Bull.. 50・10. 1404-1406 (2002)