2002 Fiscal Year Annual Research Report
自己無撞着場理論を用いた高分子濃厚系における相分離の動的制御
Project/Area Number |
14045201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川勝 年洋 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20214596)
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Keywords | 高分子濃厚系 / 自己無撞着場理論 / 相分離動力学 / 非線形粘弾性 / 高分子ブラシ / シュミレーション / 経路積分法 / レオロジー |
Research Abstract |
高分子濃厚系における相分離構造の発現とレオロジーの関係を明確にし、高分子の1次構造からマクロ異な粘弾性挙動を予測するための方法論を開発することを目的として、本研究を進めている。この目的のために、我々は高分子平衡系に対して広く用いられてきた自己無撞着場理論に鎖の絡み合い効果を導入することで、自己無撞着場理論の動的な拡張を提案し、以下の種々の問題を解析した。 一様系の非線形粘弾性 提案手法の正当性の検証のために、一様な高分子メルトにステップずり変形を加えた際の非線形粘弾性挙動をシミュレーションによって解析した。その結果、我々のモデルが、高分子メルトの応力-歪み特性や非線形粘弾性の歪み因子などの量を、定量的に正しく再現できることが確認された。 メルトブラシの非線形粘弾性 非均一系の例として、2枚の平行平板上にグラフトされた高分子メルトブラシに、定常ずりを印可した系の粘弾性挙動を調べた。ずり変形によって生じる鎖同士の絡み合いのために、ブラシの重なり領域の減少や鎖の自由末端分布の局在化など、鎖の配位の顕著な変化が観測された。これらの現象は、ミクロなモンテカルロシミュレーションでも観測されているが、従来の自己無撞着場理論の動的な拡張モデルでは再現できなかった現象であり、我々のモデルの有効性を示している。 2流体モデルに基づく流体シミュレーション 我々の提案する動的な自己無撞着場理論においては、鎖配位のエントロピーを正確に評価するためには、流動場を定量的に正しく計算することが必要となる。この目的のために、相分離する高分子粘弾性流体を2流体モデルに基づいてモデル化することで、粘弾性流体の流動場をシミュレートするためのソルバーを開発した。このソルバーを、ずりを印可した2成分高分子混合体に適用することで、流動場による相分離現象の誘起・抑制現象の再現に成功した。来年度以降、この粘弾性流体ソルバーと、上記の動的自己無撞着場理論を組み合わせることで、多成分高分子材料の粘弾性特性に着目した物質設計・制御へ向けての研究を推進する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Morita, et al.: "Competiton between Micro-and Macro-Phase Separations in a Binary Mixture of Block Copolymers---A Dynamic Density Functional Study---"Macromolecules. 35.19. 7473-7480 (2002)
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[Publications] K.Furuichi, et al.: "Relaxation of a tethered polymer using dynamic mean field calculation"J.Chem.Phys.. 117.21. 9959-9960 (2002)