2002 Fiscal Year Annual Research Report
構造色発現現象により水素結合形成を検知するソフトマテリアルの創製
Project/Area Number |
14045227
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹岡 敬和 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20303084)
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Keywords | 水素結合 / ゲル / ソフトマテリアル / 構造色 |
Research Abstract |
これまで、機能性モノマーと認識させたい分子(ターゲット分子)との間に水素結合を形成させた状態で架橋剤とともに重合させたゲルは、ターゲット分子の濃度に依存して収縮時の膨潤度が変化することが分かってきた。つまり、この化学ゲルはターゲット分子との間に形成される水素結合が、その体積変化という現象へ情報が変換されるわけである。また、最近の私の研究の中で、光の波長よりも細かい規則構造を化学架橋ゲルに刻み込むと、その体積変化に連動して、ゲルから特定の波長の光が散乱される(構造色を示す)ことを発見した。上記の二つの現象を組み合わせることで、ゲルと特定の分子との水素結合形成をゲルによる発色現象という形で可視化されるソフトマテリアルの構築を行うことが可能となると考えられた。本研究では、分子間水素結合形成を可視光にて感知できるソフトマテリアルの開発に取り組んでいる。昨年度における一年間に得られた結果としては、特定の環境(温度、溶媒組成、pHなど)において、任意の波長の光を反射して色を示すようなゲルの調製に取り組んだ。その結果、光の波長と同程度の大きさの球状シリカからなるコロイド結晶を鋳型にすると、ゲルを調製する際のモノマー濃度、架橋剤濃度、およびその比率を変えるだけで、異なる色を示すゲルが得られることを明らかにしてきた。さらに、環境の変化に応答するような官能基を有するゲルとすることで、環境変化に伴う色変化を示す材料となることも分かってきた。 本年度においては、特定の分子を水素結合を介して認識できるようなモノマーもしくはモノマー群からなるサイトを形成することを行い、水素結合の形成に伴い、色調に変化を来すようなソフトマテリアルの開発に取り組む予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "Polymer Gels that Memorize Structures of Mesoscopically Sized Templates"Langmuir. 18. 5977-5980 (2002)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "Template synthesis and optical properties of chameleonic poly(N-isopropylacrylamide)gels using closest-packed self-assembled colloidal silica crystals"Advanced Materials. 15. 199-201 (2003)
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[Publications] 雲田将史, 竹岡敬和, 渡辺正義: "Template synthesis of poly(N-isopropylacrylamide) minigels using interconnecting macroporous polystyrene"Langmuir. 19. 525-528 (2003)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "ゲルの構造記憶能と機能化"高分子加工. 52. 9-17 (2003)
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[Publications] 竹岡敬和, 渡辺正義: "コロイド結晶のソフトマテリアル化"繊維学会誌. 59. 49-54 (2003)
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[Publications] 竹岡敬和 他: "ゲルと生命"東京大学出版会. 4 (2002)