Research Abstract |
本研究の最終年度に当たる平成18年度は,完全非接触鉛直方向ナノメートル位置決めテーブルシステムの開発およびこれまで開発した各要素を組み込むことによって,最終的に加工システム全体の完成を行った.その結果,以下の成果が得られた. (1)完全非接触鉛直方向ナノメートル位置決めテーブルシステムにおいて極めて重要となる重力補償機構の構成について詳細な検討を行い,新たな機構として非接触シールを用いた真空シリンダを用いた重力補償機構を提案した.さらに提案した重力補償機構の特性を詳細に評価するため評価システムを試作し,出力変化,安定性などが従来機構と比較して優れていることを確認した. (2)テーブルシステムに,ボイスコイルモータ,空気静圧案内,提案した非接触重力補償機構,レーザ干渉計を組み込み,完全非接触鉛直方向ナノメートル位置決めテーブルシステムを構築した.さらに各要素の最適配置を検討することにより,重心駆動,熱的対称性,駆動フレームと測定フレームの分離など,力学的・熱的に安定したシステム構造とすることで,鉛直方向位置決めにおける誤差要因の排除を行った. (3)構築した鉛直方向位置決めテーブルシステムの特性評価を行い,駆動ストローク100mm,位置決め分解能2nmと従来困難であった鉛直方向において長ストロークに渡るナノメートルオーダの位置決めを実現した. (4)前年度までに開発した完全非接触XYナノメートル位置決めテーブルシステム,エアタービン駆動超精密エアスピンドルシステム,温度制御による熱変形抑制システム,センサレス加工状態モニタリングシステム,マイクロセンサを用いた加工状態モニタリングシステム,アクティブ除振機能を具備した力学的・熱的安定化構造などを全て統合することにより,所期の研究目的である超精密・微細加工システムの全体を完成した.
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