2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14104026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂野 仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90262154)
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Keywords | 匂い受容 / 臭覚受容体 / 嗅神経細胞 / 軸索投射 / 嗅球 / 匂い地図 / 軸索ガイダンス分子 / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
嗅覚系に於ける匂い情報の受容は、免疫系に於ける抗原認識と同様、せいぜい一千前後の受容体遺伝子を用いて、ほぼ無限の化学情報が識別されている。嗅覚系では免疫系で見られた様な遺伝子の再構成はなく、嗅上皮で生じた匂い分子の結合情報が嗅球表面において二次元情報、すなわち画像に変換されることで多様な匂いが識別されると考えられている。具体的には、個々の嗅神経細胞では発現する受容体の種類に従ってその軸索の入力先である嗅球上の特定の糸球が対応しており、嗅球上では約一千の糸球を素子とした電光掲示板の様に、匂い情報は糸球の発火パターンとして中枢に提示されるのである。この匂い情報の画像化の基礎をなすのが、1神経-1受容体ルールと1糸球-1受容体ルールである。当グループでは既に、1神経-1受容体ルールが、嗅覚受容体による負のフィードバック制御によって維持され、これが嗅覚受容体遺伝子のallelic exclusionの基礎である事を世界に先駆けて報告した(Science 302,2088,2003; Trends in Genetics 20,648,2004)。今年度、本研究課題に於いて当グループでは、もう一つの基本ルールである1糸球-1受容体を支える分子基盤について、研究を行った。このルールを支える分子メカニズムは極めて精巧で、例え受容体に1アミノ酸残基の違いがあっても異なる糸球が形成される。当グループでは、軸索の嗅球への投射が、dorsal/ventral軸については嗅神経細胞の嗅上皮における位置によって、またanterior/posterior軸については嗅覚受容体分子を介して決定される事を示した(J.Neurosci. 印刷中)。
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Research Products
(8 results)