2002 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケール統合解析システムと非破壊検査技術の融合
Project/Area Number |
14205065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80157122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90251339)
小澤 一雅 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教授 (80194546)
魚本 健人 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80114396)
加藤 佳孝 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (80272516)
石田 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60312972)
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Keywords | マルチスケール解析 / 非破壊検査 / 腐食 / ひび割れ / 耐久性 / 寿命推定 / 鉄筋コンクリート / 熱力学 |
Research Abstract |
本年度に得られた成果は以下のとおりである。 (1)鋼材腐食によって導入される構造ひび割れを,多方向非直交ひび割れモデルによって構造解析に取り込む数値解析法を開発し,マルチスケール統合解析システムDuCOMと結合,構造化した。鋼材表面に形成される腐食生成物を粘弾性体と仮定し,要素内の鋼材軸に直交する方向に内部応力が発生することで周辺コンクリートに亀裂が導入され,その後に導入されるせん断ひび割れとの相互干渉効果を考慮した。せん断破壊先行型の梁モデルを作成し,部分腐食と部材耐力との関係を実験によって検証した。 (2)80度までの高温履歴を受けるRC部材のtension-stiffnessを実験によって明らかにし、初期平均ひび割れ強度で正規化することで,常温時のモデルを高温環境まで拡張できることを示した。 (3)非破壊検査で得られるひび割れ位置と幅を,数値仮想フラットジャッキで構造モデルに導入する数値解析手法を開発した。これを用いて,部材軸方向に熱応力によって導入されるひび割れの影響を,マルチスケール統合解析に取り入れることができることを示した。 (4)温度が変動する環境下でのコンクリートのクリープモデルを,マルチスケール統合解析から得られる細孔構造と熱力学的水分状態の情報をもとに構築した。温度と乾燥状態を変えたモルタルおよびセメントペーストのクリープ実験を実施して,多角的な検証を行った。この際,水分を非極性流体と置換することで影響されるクリープ特性を実験的に解明して,モデル化の基本概念を検証することに成功した。また,水分の平衡状態に及ぼす温度の影響度を層間水,ゲル水,キャピラリー水毎に分離抽出することができ,水分平衡モデルの高度化が可能となった。 (5)温度が変動する環境下でのコンクリート中の塩化物イオンの平衡特性を実験的に解明し,固定塩化物と自由塩化物間の平衡モデルとして表現することができた。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Maekawa, K., Ishida, T.: "Modeling of structural performances under coupled environmental and weather actions"Materials and Structures, RILEM. Vol.35,12. 591-602 (2002)
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[Publications] Choi, K.Y., Maekawa, K.: "Bond behavior in RC tension members based on the change of concrete fracture characteristics with temperature"Proc.of JCI 2003. (appearing). (2003)
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[Publications] Choi, K.Y., Ishida, T., Maekawa.K.: "Macroscopic bond in RC under the combination of environmental and mechanical loads"Proc.of Bond in Concrete, from research to standards, fib, 2002, Budapest. 199-207 (2002)
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[Publications] 伊藤一聡, 岸 利治, 魚本健人: "種々の養生温度下で形成されたセメント硬化体の空隙構造"コンクリート工学年次論文集. Vol.24,No.1. 489-494 (2002)
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[Publications] 伊藤一聡, 岸利治, 魚本健人: "種々の養生温度下で形成されたセメント硬化体の空隙構造に関する一考察"土木学会第57回年次学術講演会第5部門講演概要集. V-475. 949-950 (2002)
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[Publications] RaktipongSAHAMITMONGKOL, Toshiharu KISHI: "Flexural Behavior of Fiber-Reinforced Expansive Mortar"Proc.of the 57th Annual Conference of the Japan Society of Civil Engineering. V-509. 1017-1018 (2002)
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[Publications] 村瀬豊, 岸利治, 細田暁, 松田芳範: "コアコンクリートを用いた鉄道高架橋の現有品質に関する調査研究"土木学会第57回年次学術講演会第5部門講演概要集. V-517. 1033-1034 (2002)
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[Publications] 永峯秀則, 岸利治: "環境温度による高性能AE減水剤の分散効果の変化と自由水量の変化に関する一考察"土木学会第57回年次学術講演会第5部門講演概要集. V-728. 1455-1456 (2002)
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[Publications] 竹上浩史, 石田哲也, 前川宏一: "高炉スラグ微粉末を混入したセメント硬化体中の塩化物移動平衡則"コンクリート工学年次論文集. Vol.24,No.1. 633-638 (2002)
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[Publications] 江間智広, 石田哲也, 前川宏一: "鉄筋コンクリートの引張特性に及ぼす乾燥収縮の影響"コンクリート工学年次論文集. Vol.24,No.1. 435-440 (2002)
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[Publications] Tetsuya ISHIDA, Koichi MAEKAWA: "Solidified Cementitious Material-Structure Model with Coupled Heat and Moisture Transport under Arbitrary Ambient Conditions"Proceedings of fib Congress 2002, Osaka. 219-226 (2002)
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[Publications] Koichi MAEKAWA, Tetsuya ISHIDA: "Modeling of structural performances under coupled environmental and weather actions"Material and Structures, RILEM. Vol.35,December. 591-602 (2002)