2002 Fiscal Year Annual Research Report
法隆寺献納宝物と正倉院宝物の源流に関する調査研究―韓国所在の彫刻・工芸作品を中心に―
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14251002
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
金子 啓明 東京国立博物館, 事業部, 事業部長 (90110098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 一敏 東京国立博物館, 文化財部, 上席研究員 (20141989)
沢田 むつ代 東京国立博物館, 文化部・保存修復課, 環境保存室長 (40215918)
岩佐 光晴 東京国立博物館, 事業部・情報課, 図書映像サービス室長 (10151713)
白井 克也 東京国立博物館, 文化財部・展示課, 主任研究官 (70300689)
今井 敦 東京国立博物館, 文化財部・列品課, 主任研究官 (50193644)
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Keywords | 韓国 / 正倉院宝物 / 法隆寺献納宝物 / 彫刻 / 工芸 / 考古 / 技術 / 比較研究 |
Research Abstract |
彫刻は、慶州南山の山中に散在する石仏を中心に調査した。そのうち七仏庵の石仏は、日本の8世紀の彫刻との関連性が強いことが知られた。また、韓国の石仏の造像背景には、石そのものに対する信仰を包含している可能性が窺われ、今後それを追求する必要性が認識された。 工芸担当は、金工は、慶州雁鴨池出土品のうち、線刻で文様が施されている作品と魚々子を打っている作品を重点的に調査した。線刻は蹴彫によるものが多く、魚々子は,規則性のあるものは1例のみで、多くは文様間を充填させるだけの不規則のものが多かった。日本では、奈良時代の金工品には、蹴彫による文様表現は少なく、宝相華の同一文様でも線刻技法に相違があることがわかった。また魚々子は日本では出現当初はまばらであったが、次第に密になる。韓国と比較すると日本はより間隙がないほど密に打っのが普通であり、中国と日本、韓国の魚々子打ちの相違が確認できた。 また、染織は皇南大塚古墳出土の銅鏡に付着している麻布と平絹が発見できた。鏡をはじめに麻布で包み、さらに平絹で包む2重の包み方で、6世紀のころの鏡の収納を知ることが出来た。天馬塚古墳出土の刺繍は、鞍の褥と考えられているが、この刺繍は、糸の撚りが強く、この特徴は日本では、藤ノ木古墳出土品や法隆寺伝来の繍仏と共通するものであると確認された。 考古では、ソウルの中央博物館所蔵の緑紬の托盞が東京国立博物館所蔵の托盞と一具であること、しかも百済で作られたことを知ることができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 沢田 むつ代: "中国と日本の絹織物"シルクロード絹と黄金の道. 178-182 (2002)
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[Publications] 沢田 むつ代: "法隆寺献納宝物 葡萄唐草文錦褥-平成十二年度の修理を終えて-"MUSEUM. 582. 49-57 (2003)
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[Publications] 沢田 むつ代: "「正倉院と法隆寺の刺繍の比較」宮内庁正倉院事務所)、2003年"正倉院紀要. 5月刊行予定. (2003)