2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14251010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
福田 アジオ 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (60120862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 律子 神奈川大学, 経営学部, 教授 (70260990)
橘川 俊忠 神奈川大学, 法学部, 教授 (80343630)
田島 佳也 神奈川大学, 経済学部, 教授 (40201610)
中野 泰 筑波大学, 歴史人類学系, 教授 (20323222)
常光 徹 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助教授 (40321541)
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Keywords | 国際研究者交流 / 民俗誌 / 環東シナ海(東海) / 移住 / 漁村 / 漁業 / 俗信 / 族譜 |
Research Abstract |
本研究課題は中国東南部の浙江省沿海部において詳細な民俗誌的調査を実施し、従来ほとんど明らかにされてこなかった沿海村落の民俗誌を作成し、その過程において江南地方の沿海地域の民俗的特質を析出することを具体的目標としている。さらに、最終的にはそれらを通して東シナ海(東海)を共通の活動海域とする西南日本、特に南西諸島、台湾、朝鮮半島の諸地域の民俗的関連性を検討することを大きな目標として設定している。本年度はその4年間の研究計画の初年度にあたり、本格的計画を実施するための予備調査の年度と位置づけて、現地でのフィールドワークを実施した。 調査対象地域としたのは、浙江省寧波市象山県石浦鎮および温嶺市石塘鎮であり、8月に両地を訪れ全般的な民俗誌的調査を行った。本課題の調査研究の特色は、第1に研究分担者が同一地域に同一時期に調査に入る調査団方式を採用していること、第2に中国側研究者と同一行動を取り、互いに協力して調査を遂行し、その過程で問題点について検討することである。この方式の利点が十分に発揮され、2年度目以降の調査研究課題が明確になると共に、その実施計画についても現地の人々を交えて全体で協議検討して具体化することができた。 調査の過程で明らかになった新たな課題は以下の通りである。第1に、二つの地域はいずれも福建省から移住してきたという伝承を有し、現に言語的にも福建語が色濃く伝えられていることである。漁民の移住と文化変容という新たな課題が民俗誌作成の重要な位置を占めることとなった。第2に、漁民の信仰について、俗信・禁忌に関してのデータ収集が可能であることが判明し、来年度以降の重点調査課題となった。また第3として、族譜作成に見られる福建、台湾を含む広域的な組織化の様相も把握でき、従来の村落に限定した民俗誌を超えた新たな民俗誌作成の方法的検討も課題として浮かび上がったことである。いずれも2年度目以降の調査の中で実践的に取り組むことになる。
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