2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310095
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大浦 宏邦 帝京大学, 経済学部, 助教授 (60297116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 雅之 山形大学, 教育学部, 講師 (60333944)
七條 達弘 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (40305660)
佐藤 嘉倫 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90196288)
藤山 英樹 獨協大学, 経済学部, 講師 (80327014)
鬼塚 尚子 帝京大学, 文学部, 講師 (50307203)
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Keywords | 社会的ジレンマ / 選択的相互作用 / 集団間の移動 / 離脱型応報戦略 / 進化ゲーム理論 / シミュレーション / 小集団実験 / 転職 |
Research Abstract |
社会的ジレンマの研究では、複数の小集団が存在する時には協力行動が有利になりやすいが、集団間の移動が可能な場合には非協力的な戦略が得になりやすいことが知られている。本プロジェクトでは、集団内に非協力なプレーヤーがいるときには自分も非協力的になり、機会があれば他の集団に移動しようとする戦略を離脱型応報戦略と呼び、この戦略が流布することによって集団間の移動が可能な場合にも、協力行動が維持される可能性を探ることを目的としている。 本年度は前半に理論的研究として、数理モデルによる解析とシミュレーションによる研究を行った。数理解析の結果、離脱型応報戦略が離脱型非協力戦略や固定型非協力戦略の侵入を阻止できる場合があることが分かった。シミュレーションによる研究では、侵入戦略のシェアが概ね1/集団人数以下の場合は、非協力戦略の侵入を阻止できることが明らかになった。この条件を満たしている場合はサンクションなどの選択的誘因が存在しない場合でも協力的な戦略が維持される。 本年度の後半では実証的研究として、集団間の移動コストを変えた社会的ジレンマ実験と、転職行動に関する社会調査を行った。移動コストを変えた実験の結果、移動が全く出来ない場合が最も協力率が高く、中途半端に移動が可能な場合が最も協力率が低いが、より移動がしやすくなると協力率が回復すると言う結果が得られた。非協力者の移動による協力的な集団の破壊効果と、協力的な集団の形成による協力率の回復効果の両方の存在を示唆する結果である。転職についての調査では、離脱型応報戦略者が4割程度存在し、実際の転職率も高いが、平均年収は非離脱型応報戦略者より低いという結果が得られた。年収の低い層に離脱型戦略が多いことによる影響が考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大浦 宏邦: "秩序問題への進化ゲーム理論的アプローチ"理論と方法. 18. 133-152 (2003)
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[Publications] 金井 雅之: "進化ゲームにおける選択的相互作用モデルの意義と課題"理論と方法. 18. 153-167 (2003)
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[Publications] 七條 達弘: "文化進化系進化ゲーム理論による社会的ジレンマ分析"理論と方法. 18. 169-183 (2003)
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[Publications] Yoshimichi SATO: "Can Evolutionary Game Theory Evolve in Sociology?"Sociological Theory and Methods. 18. 185-196 (2003)
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[Publications] 小山友介, 大浦宏邦: "所属集団を変更できる社会的ジレンマモデルの計算機実験"シミュレーション&ゲーミング. 13. 169-178 (2003)