2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310095
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大浦 宏邦 帝京大学, 経済学部, 助教授 (60297116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 道郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90016676)
金井 雅之 山形大学, 教育学部, 助教授 (60333944)
藤山 英樹 獨協大学, 経済学部, 助教授 (80327014)
数土 直紀 学習院大学, 法学部, 教授 (60262680)
七條 達弘 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (40305660)
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Keywords | 秩序問題 / 進化ゲーム理論 / 選択的移動 / 移動可能なジレンマ実験 / 転職調査 |
Research Abstract |
本年度は第3実験と第2調査を行ない、理論的な予測と比較することを試みた。また、これらの結果を数理社会学会、日本社会学会、アメリカ社会学会などで発表した。 第3実験は、第2実験で実施した所属集団変更可能な社会的ジレンマ実験と同じ枠組みで8セッション実施した。実験条件として、集団間の移動コストを0円、20円、50円と変化させた条件と移動が全く出来ない条件を設けた。その結果、移動が全く出来ない条件で協力率が高く、移動ができる条件で協力率が低いという第2実験の結果が再現された。 集団間の移動を促す条件をロジスティク回帰分析で調べたところ、被験者の協力率がプラスに、周囲の協力率がマイナスに有意な効果を持つことが分かった。この結果は、協力的なプレーヤーは周囲が非協力的なときに移動しやすいことを示している。一方、非協力的なプレーヤーは周囲に協力者がいる間は移動をしないが、協力者がほとんどいなくなると移動をする傾向があることも明らかとなった。これは、理論的な予測とも一致する結果であった。 調査については第1調査では、現実社会における集団間移動の例として転職を取り上げ、協力傾向と転職との関連について調べることを試みた。その結果、協力傾向と転職の間に正の相関が見られたが、これらの間の因果関係の方向を特定することはできなかった。また、職場の状況が本当に社会的ジレンマと考えられるのかどうかという疑問点も提起された。 そこで第2調査では、職場のゲーム構造を明らかにすることを試みた。その結果、特に現業系の職場で、周囲が協力していないときに協力しようとする傾向があることが示された。これは職場の状況がN人囚人ジレンマゲームであるよりもN人チキンゲームであることを示唆する結果である。現実の社会を分析するには方法論上の工夫がさらに必要であると考えられる。
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Research Products
(2 results)