2002 Fiscal Year Annual Research Report
企業統治制度の進化と取引費用推定に関する目中比較研究
Project/Area Number |
14330036
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植竹 晃久 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (80051556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 和弘 慶應義塾大学, 商学部, 専任講師 (60338233)
渡部 直樹 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (50095668)
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Keywords | 企業統治制度 / 天津経済技術開発区 / グローバル経済 / 組織原理 / 企業変化 / 取引費用 / 企業文化 / コーディネーション |
Research Abstract |
日中の企業統治制度の比較研究に適した新しい理論的枠組や分析道具の確立に向けて,研究を展開してきた。とくに,本年度は,中国のなかでも発展の著しい天津経済技術開発区にフォーカスをあてた。天津市は,トヨタの進出やモトローラの携帯電話生産などの拠点となっており,グローバル経済のなかでも注目されることが多い。これらの企業調査に加えて,本年度は,新制度派経済学,組織理論,そして比較制度分析といった先端的な理論的成果の検討を行った。近年,ドラスティックに変貌する環境にたいして,企業は自ら永年にわたって蓄積してきた「ルーティン(慣習的な行動パターン)」を破壊・適応させていかねばならない。そこで,新しい組織原理が必要とされることは言うまでもない。こうした動学的な企業変化は,静学的な取引費用のだけでは説明しつくせない。取引費用については,オリバー・ウィリアムソンを中心とした研究があるが,取引費用推定の実証的研究は進んでいない。唯一の例外は,ダグラス・ノースによるアメリカ経済における取引費用部門の推定の仕事であるが,コーポレート・ガバナンスや企業の変化をミクロ的に説明するものではない。われわれは,企業が取引費用節約のメカニズムであるのなら,いかにしてそれが可能になるかという問いから,クレプス・キャッソン流の企業文化によるコーディネーションの役割に着目し,ゲーム理論的実験とインタビュー調査を組み合わせる試みを展開した。次年度以降,サンプル数を増やしながら,この研究手法の可能性を模索していくことになろう。
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Research Products
(2 results)